家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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2階リビングのメリット・デメリットを徹底解説

 

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 出典:「PUNCH Architecture」HPより 

 

    http://www.puncharc.com/ 

リビングを1階と2階のどちらにするべきかについて、悩まれている方は結構多いと思います。

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

一般的にリビングは1階に配置することが多いですが、2階にすることもしばしばあります。今回は2階リビングという選択肢について考察していきたいと思います。
どのようなケースにおいて2階リビングという選択肢が有効になりうるのか、そのメリットやデメリットについてもまとめていきたいと思います。特にこれから家づくりを始めるにあたって、LDKを何階にするか迷われている方にとっては必見です。

2階リビングが効果的なのはどんなとき?

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まず、どのようなときに2階リビングという選択肢が登場してくるのでしょうか。敷地の周辺状況に関していえば例えば以下のようなパターンが考えられます。

都市部で2階リビングが望まれるパターン

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都市部の密集住宅地で家を建てる場合、敷地境界線のギリギリまで家を建てることが多いです。お隣の家の外壁がすぐ目の前まで迫ってきているということもよくあります。

このような場合、隣家が近いということから1階にほとんど日が入らないようなケースが非常に多いです。よって、狭小な敷地が並ぶようなエリアでは1階に十分な採光が得られず、結果的に主要な生活空間となるリビングが薄暗くなってしまうということになってしまいます。

一般的に2階に配置されることが多い寝室は、日中の採光が十分に確保できなかったとしても、生活する上でそこまで支障にならないことが多いです。ということであれば、各寝室を1階に、LDKを2階に配置することによって、主な生活空間となるリビングに十分な採光を確保しようとする考え方です。

眺望から2階リビングが望まれるパターン

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都市部や密集市街地ではなくても2階リビングが望まれるというケースもあります。郊外や自然に恵まれた敷地、周囲に比較的建物が少ないような環境などでは、優れた眺望が確保しやすいです。

周囲の景観に恵まれているような場合は、2階にリビングを配置した方がより豊かな眺望を取り入れやすいということもあります。このような場合も、2階リビングが好まれることになるでしょう。 

このように、居住環境の向上、あるいは魅力的な生活空間の確保などといった、2階にリビングを配置することによる明確な利点があるかどうかをはじめに考えてみましょう。そして、2階リビングの間取りはメリットもあればデメリットもあるのでしっかりと把握しておく必要があります。

以下に2階リビングのメリットとデメリットもまとめていきます。 

2階リビングのメリット

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開放感のあるリビングを実現しやすい

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前述のように、2階リビングは採光を得やすいので、日当たりの良い明るく開放的なリビングを実現しやすいです。天窓や高所窓も採光上効果的に設けやすいですね。

また、窓から外の景色を眺めたときにも利点があります。1階の窓に比べて2階の窓は視線を遮るものが少なくなります。遠くまで視線の抜けを確保することができ、より開放的な眺望を楽しむことができるリビングを実現しやすいです。

薄暗いリビングよりも、明るくて居心地の良いリビングは自ずと家族も集まりやすくなり、より豊かなコミュニケーションが生まれやすい家になります。

プライバシーを守りやすい

2階にリビングを配置することによって、周囲からの視線も気になりにくくなります。建物が密集した狭小地の敷地の場合、1階にリビングがあるとお隣や道路からの視線が気になってリビングが落ち着かない場所になってしまうということもあります。せっかくのリビングがカーテンやブラインドを閉めっぱなしの空間になってしまうということもあります。

もちろんお隣の2階窓やバルコニー位置等は注意する必要がありますが、2階リビングにすることによって、道路側の通行人からの視線を気にしなくて済む等のメリットはありますね。

構造的に有利な建物になる

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一つの空間となったLDKは大きな空間になりがちです。一般的にこの大きな空間となったLDKが1階に配置されるわけですが、これは構造的には不利な条件となります。

しかし、2階リビングとした場合は寝室等の小部屋が1階に並ぶことになります。その結果、自ずと1階の壁が多くなり、構造的には有利な建物になりやすいです。2階リビングは構造的な観点から考えると、実は理にかなったレイアウトと言えますね。

防犯 

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リビングは開放的な空間を求められるがゆえに、大きな開口がたくさん設けられる傾向があります。そしてこのような大きな開口は、当然防犯上の弱点となります。
そのような防犯上の弱点となる大きなサイズの掃き出し窓が、1階と2階のどちらにあるかを比べて想像してみると、2階リビングは防犯上有利側になると言えますね。 

2階リビングのデメリット

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庭とつながらない 

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まずはリビングと庭の連続性が確保できないという点がデメリットとして挙げられるでしょう。リビングから直接地面のレベルにアクセスできないというのはやはり気になってしまうという方も多いのではないでしょうか。本格的なガーデニングや家庭菜園を楽しみたいという方にとっては2階リビングは不向きかもしれません。

リビングと庭の連続性を失う代わりに、広めのバルコニーをしっかりと確保して、魅力的な外部空間で補完できるように計画したいものですね。豊かな眺望があればさらに理想ですし、バルコニーにちょっとした椅子を置いてくつろぐことができるのも魅力的です。高木を1階レベルに植えておけば、バルコニーレベルからはちょうど樹木の枝葉を眺めることができます。バルコニーサイズを調整すれば2階リビングへの外部からの視線のシャットアウトにもなります。庭との連続性を失うデメリットは大きいですが、それを補う魅力的な工夫はたくさん考えられそうです。

階段の上り下り 

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LDKが2階にある場合、階段の上り下りが多くなるのは大変になるかもしれません。買い物から帰ってきたときの荷物の搬入、ゴミの搬出、宅配便来客のたびに階段上り下りしなければならない...etc。

今現在は容易に上り下りができていたとしても、老後の時のことを考えておく必要もありそうです。毎日の上り下りが将来的にも問題ないかという点は検討しておきたいですね。階段を少し緩やかな勾配で計画しておく、手すりの形状など、可能な限り上りやすさ・安全性を重視した階段にしておくといった配慮もしておきたいですね。場合によってはホームエレベーターの設置という手法も考えられます。

その他、家具や家電の搬入も困難になる可能性があります。階段部分の幅寸法など、事前にしっかりと確認する必要があります。

夏の暑さ

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1階に比べると、2階は暑くなりやすいです。日当たりが良好というメリットの裏返しのようなものですね。エアコンのスペックや配置に注意するとともに、シーリングファンやサーキュレーターの設置、窓の位置やサイズの適正化等でカバーするようにしましょう。 

ちなみに、冬は暖かいリビングになりやすいと言われます。温かい空気は上に上昇するので、1階に比べて2階の方が温度が上がりやすく、底冷えをそこまで気にすることなく一定の快適性は確保することができそうです。

子供の帰宅がわかりにくい  

外から帰宅した子供がリビングにアクセスすることなく、自分の部屋に直行できてしまうため、親子間のコミュニケーションが希薄化する場合があります。大学生ぐらいにもなればそれでも問題ないかもしれませんが、やはり少なくとも高校生ぐらいまでは日々のコミュニケーションを大切にしたいものです。

2階リビングの近くに帰宅後に宿題や勉強ができるようなちょっとしたスタディコーナーを設けるなど、家族の距離感を縮めるしかけがほしいところです。

なお、家づくりにおける家族のコミュニケーションの工夫については下記の記事も合わせてご参照ください↓↓ 

www.my-home-dream.com 

2階リビングの方針は早めの判断が理想的

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リビングを何階にレイアウトするのかという点については、家づくりを開始して間取りを検討し始める早期の段階で、方針を固めておく必要があります。間取り打ち合わせの終盤の段階で、やはりリビングを2階にしたい、あるいは1階にしたいということになってしまうと、間取りはふりだしに戻ってしまいます。

間取りの検討が振り出しに戻ってしまうと、家づくりのスケジュールも大きく後ろ倒しになる可能性が生じてきてしまいます。プランが大きく変わってしまうと、確認申請のスケジュールに影響が生じるので、場合によっては着工・竣工のスケジュールも大きく変わってくる恐れがあります。

それだけではなく、プランが大きく変わるということはこれまで合意してきた金額も変わってくる可能性があるので、いろいろと懸念事項が多くなってきますね。

必要な部屋数や部屋の位置・フロアなど、間取りに直結するような必要条件・方針は計画の初期段階つまりは契約直後の設計打合せ開始直後にはある程度定まっている方がスケジュール上も安心です。

LDKを何階にするかなど、間取りを大きく左右するような検討事項についてはある程度早い段階で方針を定めておいた方がスムーズに家づくりを進めていけると思います。間取りの提案や見積・資金計画などの無料サービスを活用するのも有効です。サービスの詳細についてはこちらをご覧ください。 

まとめ 

いかがでしょうか。2階リビングの特徴をしっかり把握いただけましたでしょうか。メリットは非常に多いですが、同じぐらいデメリットもたくさんあります。特に2階リビングは老後の暮らしやすさにも大きな影響を与えてしまう可能性があるので、あとで後悔しないためにも慎重な判断が必要となります。

メリットをしっかりを享受することができ、デメリットが可能な限りケアされた快適で豊かな2階リビング空間を実現してくださいね。

なお、これから家づくりを始められる方には下記のような記事もおすすめです。家づくりを成功させるうえで、事前の下準備は必要不可欠です。今のうちから満足のいく理想の家を手に入れるために備えていきましょう。 

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