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階段の種類と特徴を総まとめ!―それぞれのメリット・デメリットも

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こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

階段には様々な種類があるということをご存じでしょうか?平屋建ての住宅であればともかく、2階建て以上になると当然のことながら階段が必要になってきます。なので、ほとんどの家にとって階段の設置は避けて通れないことが多いと思いますが、階段は家の中では転落事故の発生場所となることが多いので、住まいにおける「危険施設」などと呼ばれることもあります。

そんな階段ですが、間取りに応じて様々な種類・形式があり、それぞれ特徴が異なってきます。ご自身のご家庭に適した階段形状はどのような形なのか、それぞれの特徴を把握した上で、設計者にお任せにするのではなくしっかり要望として伝えたほうが、より使いやすく安全な階段の実現につながります。

そこで、今回は階段の種類ごとの特徴を以下にまとめていきたいと思います。どのような階段が上り下りしやすいかをイメージする上で参考にしていただければうれしいです。 

直階段

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出典:「Cristián Romero Valente Arquitectos」HPより

    https://www.romerovalente.cl/ 

直階段とは、直線状に上り下りする階段で別名「鉄砲階段」とも呼ばれます。上り始めから上り切りまで、曲がることなくまっすぐと続いていく最もシンプルな階段形状です。

階段の設置面積を最小にできるので、間取りにおけるスペースの有効活用がしやすいです。シンプルな形であるがゆえにコストも抑えやすい、直線であるがゆえに見通しが利くなどのメリットがあります。

一方でデメリットとしては、万が一足を踏み外したり、バランスを崩して転んだ際に途中で止まらずにいちばん下まで転落してしまう可能性があるため、高齢者の方や、足の不自由な方がいる場合は要注意です。また、健常者の方であっても上り下りの際に恐怖感を感じる方もいらっしゃることがあるので、住宅展示場などで実際に上り下りしてみてどのように感じるかを確認しておいた方がいいです。スペースが許すのであれば中間で踊り場を設けるなどの対応を検討するのも有効かもしれません。 

上曲がり階段、下曲がり階段

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直線階段の変形版で、上廻り階段・下廻り階段とも呼ばれます。上り始め、あるいは降り始めの部分が直角に曲がる形になっており、様々な間取りに対応させやすいです。上曲がり階段よりは下曲がり階段の方が一般的には安全と言われています。「曲がる」という変則的な形状部分が転倒の原因になりやすく、このような場所が上にあるよりかは下にあった方が転倒・転落の危険性が少しでも低下する、という思想ですね。 

曲がり部分の段数は2段にしたり、3段にしたり、間取りや勾配に応じて調整することが可能です。

かね折れ階段(かね折り階段) 

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 出典:「KENNEDY NOLAN」HPより

     http://www.kennedynolan.com.au/s

途中でL字に折れている形状でコーナー部分が踊り場になっています。この踊り場があることによって、直階段に比べて上り下りが楽になる、安全性は増す(転倒時に下まで転げ落ちる可能性が抑えられる)、恐怖感も抑制される、等のメリットが出てきます。踊り場の部分はフラットが望ましいですが、間取り上2分割とか3分割とかになるパターンもあります。一方で、踊り場があったり、途中で折れることにより、直階段よりはスペースが必要になってきたり、費用が増えてきたりというデメリットがあります。 

折り返し階段 

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 出典:「TROPICAL SPACE」HPより

     http://khonggiannhietdoi.com/

U字階段、いってこい階段、等と呼ばれたりもします。階高の半分ぐらいのところで踊り場を介して折り返す形になります。先ほどのかね折れ階段よりもさらに安全性が高いと言えます。安全性のことだけを考えるともちろん踊り場部分はフラットが望ましいですが、U字型の形状であることから一番下まで転げ落ちる可能性はかなり下がってきます。

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上図のように、踊り場部分も分割して段を設けることで省スペース化を図ることもできるので、安全性と省スペースのバランスをとりながら、段数を調整することになります。踊り場部分の段数によって必要なスペースは変わってきます。踊り場部分の分割数は1~5分割が望ましく、6分割は上りやすさや安全性の面からも避けるべきです。

螺旋(らせん)階段 

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出典:「BERNARDES ARQUITECTURA」HPより

    http://www.bernardesarq.com.br/ 

螺旋(らせん)階段とは、途中に踊り場がなく、ぐるぐる回りながら上り下りする形式の階段のことです。住宅で採用されるケースは決して多くはありませんが、らせん階段の曲線的でオシャレなデザインを好む方も多く、意匠性に優れるという点が大きなメリットであると言えるでしょう。吹き抜け空間との相性も良いので、玄関ホールやリビングに吹抜けがある場合は、螺旋階段を主役としたドラマチックな演出が可能です。光や視線を遮ることもないので、明るさ・開放感を確保することもできます。

また、らせん階段は省スペースであるという点も大きなメリットです。他の階段形式に比べてコンパクトに納まるので、狭小住宅においても採用を検討することができますし、軽やかな見た目から空間に圧迫感も生じにくいです。間取りの中で階段をどの位置にもっていくかという配置検討も比較行いやすいです。

一方で、上り下りのしやすさに関しては個人差があるという点が懸念すべきでしょう。回りながら登るという動作について、人によってはなかなか慣れなかったり、不安を感じやすいという場合も多いです。階段の幅を大きめにしておく、滑りにくい材質にしておくなどの配慮も必要になるかもしれません。また、特に不安を感じない方でも、荷物を持ちながらのらせん階段の上り下りはなかなか大変になります。また、階段の幅にもよりますが、家具などの搬出入はかなり困難になります。特に、2階にリビングがある場合は上階にソファやテーブルといった大型家具の搬入が必要になりますが、基本的には2階の窓から吊り込んで搬入すると思っておいた方が良いでしょう。

箱階段とスケルトン階段 

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出典:「SOLOMON TROUP」HPより

    https://www.solomontroup.com.au/

このように、階段の側面が壁で覆われている場合は「箱階段」と呼ばれます。側面の壁の部分に扉を設けてあげれば、階段下部分を収納スペースとして利用することができます。いわゆる「階段下収納」ですね。階段下内部で十分な天井高さを確保できる場合はトイレなどのスペースに利用するということもあります。 

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出典:「WENINK/HOLTKAMP ARCHITECTEN」HPより

    https://weninkholtkamp.nl/ 

一方でこのように、側面は壁で覆われておらず、ササラと踏板だけで構成された階段をスケルトン階段(あるいはストリップ階段、オープン階段、シースルー階段など)と呼ばれます。

箱階段のように階段下収納を確保することはできませんが見通しのきく意匠性の高い階段を演出することが可能です。空間に圧迫感が生じにくく、光や風を遮ることもないことから後述するリビング階段として計画すると効果的です。

蹴込み板が無いことによってつまづきやすい、特に幼児の上り下りには注意が必要というデメリットがあります。また、一般的にコストは上がりやすいと言えます。 

リビング階段 

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出典:「HINZ STUDIO」HPより

       http://hinz.vn/

階段の形に関わらず、リビングに面している階段のことを「リビング階段」と呼びます。階段は通常玄関ホールや廊下に面して配置されることが多いですが、この場合帰ってきた人がリビングを通らずに自分の部屋へ直行することができるので、帰宅時に家族と顔を合わせないことになることがあります。

一方、リビング階段の場合は帰ってくると必ずリビングを通ることになるので、家族間で顔を合わせることが増え、コミュニケーションがとりやすいというメリットがあります。

デメリットとしては、自分の部屋への独立したアクセスルートが無いので、来客時は必ずリビングで顔を合わせることになります。音やニオイが上階に上りやすいという点も気になるかもしれません。夜中にリビングでTVを見ている音が資質に届いてしまう、料理のニオイが2階の部屋に広がってしまう等。必要に応じて階段入口に扉やロールスクリーンなどを設けるなどの対応を検討しましょう。 

まとめ

いかがだったでしょうか。様々な階段の種類がありましたが、上り方によって「直階段」、「上曲がり階段」、「下曲がり階段」、「かね折れ階段」、「折り返し階段」、「らせん階段」の6種類が基本となってくるでしょう。

見通しがきくかきかないかによって「ハコ階段」と「ストリップ階段」の2種類に分類することもできます。

間取りにおける配置的には、特にリビングに配置される階段が「リビング階段」と呼ばれるといった感じですね。

様々な種類がありましたが、それぞれの階段の特徴やメリット・デメリットを押さえた上で、実際の上り心地を展示場などで意識しながら体感するのも重要です。また、階段の種類だけではなく、幅・蹴上・踏面・段数・勾配などのパラメーターも上り下りのしやすさに大きく影響してきます。それらについても合わせて確認しながら、より使いやすい階段を選択することができればと思います。

なお、魅力的な階段のデザイン事例については下記の記事を合わせてご参照ください。 

www.my-home-dream.com

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