子育てに関して家づくり・間取りで考えるべきこと総まとめ
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭の場合、家づくりのときに間取りで注意すべき点や考えておかなければならないことを知っておきたいという方は多いと思います。あるいは、今現在ご夫婦のみでこれから子供が生まれる予定の方も同様に、家づくりの間取りと子育ての関連性については非常に関心の高いトピックであることだと思います。
そこで今回は、子育てをされるすべての方に向けて、家づくり・間取りについて考えるべきこと・知っておくべきこと(子育て編)を総まとめしてお届けしたいと思います。
いかに子育てと家事を同時並行にこなせるか
出典:「Breathe Architecture」HPより
https//www.breathe.com.au/
子育てを重視した間取りを実現する上で、家事を効率化できるかどうかを考えることは非常に重要です。いかにお子様を見守りながら・面倒を見ながら、同時に効率よく家事もこなすことができる仕組みが間取りに組み込まれているかを意識するようにしてください。
代表的なポイントをまとめていきます。
キッチン
家事の中でも重要な要素であるキッチン。調理、洗い物などの作業を効率良くこなしながらお子様をしっかりと見守ることができるかどうかは大事なポイントと言えます。
壁に囲まれた独立型のキッチンは、調理に集中したい方、キッチンをあまり見られたくない方には人気ですが、リビングに目が届かないのでお子様を見守るという点では不向きです。
お子様を見守ることができるという点ではやはり、対面式のキッチンがリビングを見渡すことができるので効果的です。また、アイランド式キッチンは回遊性・開放感・意匠性に優れてはいますが、小さなお子様だと容易にキッチンの中に入って来れてしまうので、火元や刃物のことを考えると心配です。
各キッチンの形状ごとの特徴については下記の記事も合わせてご参照いただけると幸いです↓↓
リビングで宿題・お勉強をさせたいという要望も多く、最近ではキッチンとダイニングテーブルを横並びに配置したいという方も多くなってきています。
キッチンで家事をしているす真横に座ってお子様が学校の宿題をする。わからないところがあれば、すぐに教えてあげられる。
このように、お子様とのコミュニケーションと家事が同時並行できるという点は非常に有意義だと思います。さらに、横並びのレイアウトであればお子様も親の家事の様子を真横で見られるので、関心を持ち、家事をお手伝いするきっかけにもなりやすいですね。
洗濯
洗い・物干し・取り入れ・たたむ・片付ける、といった具合に作業工程が多く、移動距離も長くなりやすい洗濯は家事の中でも特に負担が大きな要素と言えます。
例えば洗濯物を干す物干し場とリビングが離れていたり、異なるフロアにある場合を考えると、洗濯物を干している間はリビングにいるお子様に目が届かない状況となり不安を感じられる方も多いです。
お子様が過ごしているリビングに隣接したバルコニーあるいはお庭で、目の届く距離感を保ちながら物干し作業を行うことができればより理想的と言えます。
そして、洗濯物が乾いた後の片付け作業も結構時間と労力がかかる工程です。たたんだ洗濯物を各部屋に分配し片付けていくのは移動距離も長くなり作業時間も増えてしまいます。その分、お子様に目が届かない時間も長くなってしまいます。
この移動距離と作業時間を少しでも短縮する手法としてファミリークローゼットは有効な手法と言えます。家族みんなの洗濯物を、廊下に面したどこか一か所大きなウォークインクローゼットにまとめて収納する。このようにすればあちこちのお部屋に移動しながら片付けていく手間が省けて時短につながりますね。
なお、洗濯動線の効率化については下記の記事でも詳しく記載しております↓↓
買い物・おでかけ
小さなお子様を連れて買い物やおでかけに行くことも多くなると思います。特に赤ちゃんから幼稚園の間は帰宅途中に眠りに落ちてしまって、荷物を持ったままお子様を抱っこして帰宅、という状況は良くあります。
帰宅後、玄関からリビングにたどり着くまでの動線は長すぎないかも気にしておきたいですね。また、お部屋の入口はドアよりも引き戸の方が、荷物を持っていたり抱っこしながらでも開け閉めしやすいです。
特に買い物帰りで荷物が多い場合は勝手口やパントリーがあると便利です。下記の記事で勝手口やパントリーの有用性や、メリット・デメリットをまとめておりますのでぜひご参照ください↓↓
子供の動線を考える
日常生活におけるお子様の生活動線をできるだけ具体的にイメージしながら間取りを 検討することが大事です。例えば学校から帰ってきたときの動線上に何があれば便利かなどについて考えてみましょう。
玄関付近の水廻り
出典:「LIXIL」HPより
外から帰ってきてすぐに手洗いうがいをする習慣を身に着けるために、玄関付近に洗面手洗いを設けるパターンも最近増えてきています。水廻りが増えると掃除しなければならない場所が増えてしまいますが、セカンド手洗いがあることによって朝の混雑も軽減されるので、人数が多いご家族にとってはメリットも大きいといえます。来客時にも玄関近くに手洗いがあれば遠慮なく使ってもらえて便利です。
また、玄関から浴室が近ければ帰ってきてすぐにお風呂に入ることができます。小さいお子様が公園から泥だらけになって帰ってきたり、部活で汚れて帰ってきたときなどにも有効ですね。
玄関付近に水廻りがあると何かと便利なことが多いです。
リビングでの学習
学校から帰ってきたお子様がそのまま自分の部屋にこもるのではなく、リビングで勉強して親とのコミュニケーションを保ちながら学習する傾向が最近では多いです。前述のようにダイニングテーブルを使っても良いですが、リビングの一角にカウンターを設けて学習スペースとしたり、ランドセルや学習用品を保管できる本棚などの収納を用意しておいてあげたり。
このような仕掛けがあれば、自ずとリビングでの学習習慣が身につきそうですね。もちろんお子様が使っていないときは、パソコンを置くなどして家族みんなが共有で使うことができるライブラリコーナーとしても利用できそうです。いずれお子様が巣立ってからも、有効に活用できるスペースになりますね。
リビングを充実させる
ここまでの内容でもお分かりの通り、お子様との豊かなコミュニケーションが育児を重視した間取りを実現する上で重要なポイントと言えます。なので、子供部屋を作り込みすぎるよりは、みんなで過ごすリビング空間を以下に充実した豊かな空間にしていくかという点が大切になってきます。
子供部屋を大きくしたり、使用を充実させて、部屋に引きこもってしまうよりも、リビングで家族と交流しながら過ごす。
家族共有の本棚をリビングに設けてファミリーライブラリにする、家族共有の掲示板をリビングに設けてコミュニケーションツールにする。
様々な仕掛けをリビングに設けてより豊かな空間にする、のんびりくつろぎやすい空間にすることが望ましいですね。
その他にもリビングアクセス階段も、家族間のコミュニケーションを充実化する上では有効な選択肢です。リビングアクセス階段とは、文字通り上階へつながる階段をリビングの中に設けるという手法です。こうすることによって、外から帰ってきたときに自分の部屋へ直行するのではなく、いったんリビングを経由してかならず家族と顔を合わせることになるので、必然的に家族間のコミュニケーションが生まれるという仕組みです。リビングアクセス階段や親子のコミュニケーションについては下記の記事でも詳しくまとめさせていただいておりますのでぜひご参照ください↓↓
畳コーナー
子育て世代の方々には畳コーナーも最近では非常に人気です。リビングに面する畳コーナーの魅力は様々ありま、育児の観点では小さなお子様のお昼寝の場所、遊ぶ場所として利用しやすいということが挙げられます。小上がり畳スペースにしておけば、畳下をおもちゃの収納スペースなどにも利用できます。
リビングに面しているので、家事をしながらお子様も見守ることができますね。ごろんと横になりやすいので、おむつ替えがしやすい場所にもなります。
また、子供だけのための場所というわけではなく、洗濯物を仮置きしたり、たたんだり、アイロンがけする場所としても利用しやすかったりします。
収納
子育ての期間は最もモノが散らかりやすいのに、最も片付ける時間が無いとよく言われます。よって、十分な収納スペースを有効活用できるように適材適所に確保していくことが大切です。
特に赤ちゃん~幼稚園の間はおもちゃがいつの間にか膨大な量になってしまうということも良くあります。親戚や友人からの贈り物も含めてどんどん増えていき、リビングに足の踏み場がないほど常時おもちゃが散らかっている状況は良くあります。
これらを効率よくしまえるリビング収納スペースを確保しておけば、お片付けがしやすく、ある程度分別が付くようになってくれば、自発的に片付け整理整頓ができるようにしつけの一環にもなります。
玄関廻りの収納スペースもできる限り充実させておきたい部分ですね。ベビーカーをはじめとして、お砂場セットや三輪車やストライダーなどのお外遊び用品の収納スペースが確保できているか。お出かけ前のマザーズバッグをしまっておける場所が玄関廻りにあると便利ですね。下駄箱とは別にシューズインクローゼットが1帖でもあればかなり便利になります。
シューズインクロークについては下記の記事も合わせてご参照ください↓↓
安全性
家づくり・間取りで育児を考慮する上で、お子様の安全性について考えるということは避けて通ることはできません。
キッチンは前述の通り火元や刃物もあるので、小さなお子様にとっては危険な場所になりかねません。ベビーゲートの設置でケアしておきたいところです。
あまり想像したくありませんが、2階からの転落事故防止についても注意しておきたいですね。例えばベランダに空調室外機を置く場合はそれが足がかりになって転落の原因にならないか注意しましょう。ベランダの手すりも横方向に桟が通っていると足がかりになって危険ですね。
子供部屋のベッドレイアウトについても、窓との位置関係によっては転落の原因になりかねません。
庭や駐車場周りは歩車分離がされているかどうかも要注意です。
その他、間取りには直接関連しませんが、家具の角にはコーナーガード、コンセントは関電防止のためのコンセントカバーの設置なども配慮しておきたいですね。
可変性
お子様が小さいうちは大きな一つの子供部屋を兄弟あるいは姉妹で共有し、ある程度年齢が大きくなってきたら、間仕切壁で2つのお部屋に区切るという手法を選ぶ方も最近では増えてきています。
時期によって部屋の形態を変えるという可変性のある手法で有効な手段ではありますが、部屋を二つに区切った後のことが十分に検討されていないことが結構多いです。
例えば、2つの部屋に分かれた後の家具のレイアウト。ベッドと学習机は置けるけど、本屋洋服を収納する棚やクローゼットを置くスペースが無い、コンセントやスイッチが家具に隠れてしまって使えない、など。
可変性のある間取りを実現するには、将来計画を十分に検討する必要があるということをしっかりと意識してくださいね。
まとめ
いかがだったでしょうか。子育て世代の方々にとって、育児のしやすい家づくりはとても重要なポイントになってきますが、上記の通り様々な観点から配慮していく必要があります。
安全性や利便性に配慮するとともに、親子の豊かなコミュニケーションが創出されるような間取りが実現できますように。
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