魅力的な中庭のある家づくり
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
今回は中庭のある暮らしについて考えてみたいと思います。魅力的な中庭のある暮らしに憧れている方は結構多いと思います。そんな中庭の魅力的なアイデアをご紹介していきたいと思います。
中庭を構成する要素
まずは中庭を構成する要素についてです。
植栽
中庭空間に彩りを与えてくれます。シンボルツリーが1本あるだけでも中庭の雰囲気は大きく変わります。お手入れのことも考慮しながらお気に入りの樹種を選ぶのを楽しみましょう。
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
出典:「b.e architecture」HPより
家具
ちょっとした簡単な椅子があるだけでも座ってくつろいだり、テーブルがあれば中庭での食事が楽しめますね。屋外でも使うことのできるものを選びましょう。中庭に面する塀を高くすることによって、外部と遮断されてプライバシー性の高い落ち着きのある空間が生まれていっそう魅力的です。
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
出典:「MM++Architects」より
舗装
石やタイルなど、素材感のある材料を選ぶと中庭の雰囲気はぐっとカッコよくなります。写真のようにボーダーを入れるなどでパターンを遊んでみるのも楽しいですね。また、砂利敷きにしてコストダウンを図ることもできます。雑草だらけにならないように砂利の下に防草シートを忘れずに敷くようにしましょう。
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
外部設備
出典:「weberarquitectos」HPより
例えば照明を設けておけば、夜でも中庭でくつろぐことができたり、植栽をライトアップして雰囲気を演出することができたり。中庭でバーベキューするときには水栓があれば、調理や洗い物に便利ですね。
どの部分に力を入れた中庭にするか、というところから方針を立ててみるのもいいですね。
中庭の魅力・メリット
出典:「24 7 Arquitecture」HPより
https://247arquitetura.com.br/
出典:「b.e architecture」HPより
https://www.bearchitecture.com/
出典:「b.e architecture」HPより
中庭があることによるとても大きな恩恵の一つとしては「明るさ」がまず最初に挙げられます。例えば「ロの字」型で中庭が囲われた間取りだと、北側のお部屋でも、中庭を介して南からの明るい光を取り入れることができます。LDKだけでなく、各寝室や水廻り関連のお部屋も爽やかな日の光を取り入れることができます。
特に、寝室や洗面室やお風呂などは、例えば北側に配置して、外側には窓を設けずにしっかり閉ざして、中庭側の窓から南の光を取り入れるという手法も可能ですね。
どのお部屋にもしっかりと日の光を取り入れることができるので、家の隅々まで豊かな空間にしていくことが可能でして、中庭の大きな魅力の一つと言えます。
光だけではなく、風通しもあらゆる方向に取り入れやすいです。十分な風通しの確保された快適な空間にすることができます。
プライベートな庭としての魅力
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
通常の庭と比べて、プライバシー性の高い庭を生み出しやすいという点も中庭の大きな魅力の一つですね。四方が建物や塀によって囲まれていることによって、外部からの視線は遮られ、家族だけの屋外空間が家の中に生まれるのはとても魅力的です。囲まれていて車の危険を気にしなくてもいいので、安心して子供が好きなように走り回ることができるのも中庭ならではのメリットですね。
お気に入りのシンボルツリーを植えて、照明でライトアップ、ちょっとした椅子などの家具を置くだけで、外部の世界に邪魔されずゆっくりとくつろぐことができるプライベートな場所が出来上がります。
中庭には水栓も忘れずに設けてあげることで、ちょっとした調理作業やバーベキューなどにも重宝します。
出典:「b.e architecture」HPより
窓際がちょっと腰掛けることができるような造りになっているのも楽しいですね。天気を気にせずに窓際で中庭の景色を感じながらくつろいだり読書をしたり。家の中でも豊かで充実した休日を過ごすことができそうです。
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
プライベートな中庭を生み出すためには、外部からの視線をしっかりと遮ることが重要ですが、それと同時に中庭から外部に対する見え方についても配慮するのが大切です。
外からの視線は遮られているけれども、中庭から外の建物が見える、建物は見えなくても道路の電線が見える。こうなってしまうと、せっかくのプライベートな中庭が非常にもったいないですね。
建物の配置や、塀の高さを調整してうまく外部の雑物を遮りながら、空だけが見えるような、そんな中庭が理想的です。
四季を感じられる中庭
出典:「b.e architecture」HPより
中庭に彩りを与える重要な要素である植栽は、その選び方や組み合わせが非常に重要と言えます。例えば、季節によって見え方が変わる、四季を感じさせてくれる中庭は非常に魅力的です。
ハナミズキやヤマボウシは春に白やピンクの爽やかな花を咲かせてくれて魅力的です。育てやすさにも定評があります。なお、春と言えば桜が代表的ですが、ご自宅の植栽としては虫がつきやすくメンテナンスが非常に大変なことからおすすめできません。お花見は近所の公園で楽しむ方が良さそうです。
サルスベリやヒメシャラは夏に花を咲かせてくれます。
紅葉する樹種を1本でも植えてあげれば、それだけで秋を感じさせてくれる中庭になってくれます。甘い香りとオレンジ色が特徴的なキンモクセイも、秋の始まりを感じさせてくれる魅力的な樹木です。
常緑樹を中心に選定すると一年中ずっと緑を楽しむことができますが、落葉樹を少しでも混ぜてあげれば、冬に葉を落として美しい樹形を楽しむことができ、季節の移ろいによって木の姿の変化を感じることができます。落ち葉掃除が必要になるので、小さく1本だけといった感じでも良いでしょう。
このように、四季のある日本という国で中庭のある家に住むのであれば、ぜひ季節を感じることができる庭を実現することも検討したいですね。
中庭は費用が掛かりやすい
中庭の大きなデメリットです。中庭の実現には何かと費用が掛かってしまいます。
まず建物ですが、中庭のある間取りの場合どうしても外壁の面積が増えていきます。外壁や窓などの外装材は建物のコストにダイレクトに響いてきます。中庭の無い同じ面積の家と比較して外壁率(床面積に対する外壁面積の割合)が上がってくるのでそれだけ費用は高くなっていきます。
そして中庭をこだわって作り込んでいくと、植栽や舗装、照明や水栓などの外部設備なども必要になってくるとは思いますが、これらも費用に影響していきますね。これらのコスト調整と向き合いながら、中庭を計画していく必要があります。
出典:「TAO-arquitectura」HPより
特にロの字型の中庭プランが最も外壁率が上がってコストインパクトが大きいですが、例えばコの字とかL字型の間取りにして、塀と合わせて囲んで中庭を構成する手法でも十分プライバシーの保つことのできる中庭は実現可能です。例えば上図の写真の場合は、L字の間取りで、向かって右側は塀ですね。
出典:「MM++Architects」HPより
http://www.mmarchitects.net/index.html
出典:「Estudio PK」HPより
https://www.estudiopka.com.ar/
中庭の規模自体を縮小するという選択肢もありえます。中庭の中に入ることは無くても、形式としての小さな坪庭があるだけでも空間に大きな魅力を与えてくれます。また、中庭自体が小さくてもちょっとした家具を置くだけでも落ち着きのあるくつろぎ空間として利用することは十分に可能です。中庭何をするか(眺めるだけ、座ってくつろぐことができれば十分、バーベキュー、友人を招いてパーティ)をじっくり考慮した上で、中庭のサイズを定めるようにしましょう。
その他、中庭の注意点・デメリット
メンテナンス費用
建物の費用と中庭自体の外構工事費用が大きくなりやすいという点は前述の通りですが、メンテナンス費用も通常の間取りに比べて多少高くなりやすい傾向があります。
外壁塗装の塗りなおしのときは通常よりも大きい面積の外壁になるので、その分費用も高くなりますね。
外壁面積や窓が多いということはそれだけ熱の出入りも増えやすいということから、中庭の無い同じ床面積の建物に比べると空調費用が増えやすいということになります。
動線・プライバシー
中庭プランは生活動線を十分に考慮した間取りでないと、日常生活での動線が不便になる可能性があります。回遊性のある間取りは利便性を生み出しやすいですが、ロの字型の間取りはその分動線が長くなやすいです。ぐるっと回らなければならないことが多いということにもなりかねないので、生活を十分にイメージしながらシュミレーションすることが大事です。
また、中庭の間取りは外部からの視線を遮るなどによってプライバシー的なメリットがありますが、家の中ではどうでしょう。中庭を介して反対側のお部屋が丸見えということもよくあるので、これについてもじっくりシュミレーションしながら間取りを検討しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は中庭の魅力に触れながらさまざまなアイデアをご紹介させていただきましたが、お気に入りのアイデアを見つけることができましたでしょうか。
コストをはじめとして、中庭の実現には魅力と引き換えにさまざまな注意点・デメリットがあります。それらの課題点ともしっかりと向き合った上で、理想の魅力的な中庭を手に入れたいですね。
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