キッチンの形の種類を徹底解説―それぞれのメリット・デメリットも
キッチンの形には様々な種類がありますよね。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
今回は数あるキッチンの形について、それぞれのメリット・デメリットを徹底的に解説していこうと思います。
この記事さえ読めば各キッチンの特徴が完全に網羅できるようにまとめていきます。
キッチンの形を検討中の方にはぜひお読みいただけるとうれしいです。
各キッチンの特徴が整理されて、ご自身にマッチした最適なキッチンを選択してください。
壁向き型
まずは壁向き型ということで、上図のような形です。
昔の家とかで特によく見られるほか、最近でも賃貸や一人暮らしのワンルーム物件なんかではよく見かけられますね。
やはりどうしても昔ながらの印象が強く、オシャレな感じもしないので受けは悪い気がしますが、省スペースという点では最強といえます。都心の狭小地で間取りの制約が厳しいときに力を発揮します。
また、オープンキッチンの場合だと、吊戸棚をつけると開放性が失われてしまいますが、壁向き型なら躊躇なく吊戸棚を設けることになると思いますので、収納力も確保できそうですね。収納力が不足するようであれば必要に応じて、家具を補助的に足してあげればOKです。
意外と利点も多い形式のキッチンなので、形そのものに特に抵抗がなければ十分に選択の余地はあると言えます。
クローズ型
壁で囲まれて一つの空間になったような、上図のような形のキッチンです。
壁で囲まれていることによる利点としては、調理中のにおいや音、蒸気が家全体に拡散しにくいという点が、まず挙げられます。
その他にも、壁を利用して収納を確保しやすい、汚れていたり散らかっていたりしてもゲストからダイレクトに見られることがない、作業中の手元を見られることもない、調理にしっかり集中できるといった利点もあります。
調理作業と洗い物・片付け作業を同時並行するのが苦手な方にとっては結構このタイプのキッチンが使い心地が良かったりします。とりあえず料理を作ることに専念して、さっさと配膳してゲストと食事を楽しみ、みんなが帰った後に洗い物片付け、というような使い方がしやすいです。
キッチンの中が外から見えにくいので、少々散らかっていても目立ちにくいという風に割り切ることができれば、掃除が苦手な人にとっては非常に魅力的なキッチンかもしれません。
しかし、一方で調理する人が完全に隔離されてしまうので、リビングにいる人とのコミュニケーションがとりづらく、孤独を感じてしまう場合もあります。
料理に集中したいのか、料理中も他者とのコミュニケーションを重視したいかという点も、判断の分かれ目になってきそうです。
セミオープンキッチン(I型対面キッチン)
最近では最もこのタイプが多いように感じます。上図のような形のキッチンです。
クローズ型に比べてコミュニケーションをとりながら調理することが可能です。腰壁を上げることで、ある程度手元を隠すことができますが、クローズ型に比べると、汚れや散らかりが目立ってくるので、ある程度日ごろの掃除がこまめに必要になるという点と、作りながら片付けたりなどが必要になってきそうです。
シンクが廻りからしっかり見えてくるので、洗い物が残されたままになっていると見ただけでストレスを感じる人もいるので注意が必要ですね。
なお、コンロ前は壁になっているので、リビングダイニング側への油跳ね等は防いでくれます。しかし、壁があるのはコンロ前だけなので、調理中の匂いや蒸気は、たとえ換気扇があるとはいえど、ある程度部屋中に拡散されることになります。
先ほど壁向き型の部分で少し触れましたが、吊戸棚を設けるとかなり解放感は失われてしまいます。また、吊戸棚自体かなり高い位置に設置されるものなので、出し入れの頻度が低いものを収納しないとかなり使いづらいです。
ダイニング側とのつながりや開放感が大きな利点でもあるので、吊り戸棚はできれば無くして、シンク下・コンロ下のキャビネット部分や周辺の食器棚で何とか収納は納めていきたいですね。
ペニンシュラ型
対面キッチンをさらにオープンにした上図のような形式のキッチンです。
片側だけ壁にくっついていて半島の形になっているので、Peninsula(半島)型と呼ばれます。
さらにコミュニケーションがとりやすいく、解放感も大きくなってきますが、コストはこれまでより少し上がってきます。その他特徴については、基本的に前述のI型対面キッチンに特徴は類似しています。
アイランド型
先ほどのペニンシュラ型に比べて、壁から完全に独立してIsland(島)型になった上図のような形のキッチンです。
最も解放感がある形式で、複数人で楽しく料理ができたり、キッチンの周りに回遊性も生まれて配膳もしやすいです。
非常に存在感の強いタイプで、コストはもっと高くなります。また、必要なスペースもこれまでのキッチンより大きくなってきます。
バランス的に考えても、キッチンだけではなく、リビング・ダイニングにもそれなりの広さを確保する必要があります。
機能面で見てみると、においの拡散や油跳ねの度合いが大きくなってくるのが懸念ポイントです。
手元が丸見え、汚れや散らかりも丸見えになってくる点も気になります。生活感を排除してキレイな見た目を維持するためにはそれなりの努力が必要になってきます。
なので、キッチンの見栄えはいいのですが、しっかり料理をする人、掃除が苦手な人、揚げ物類を頻繁につくることが多い場合にはおすすめしません。
見た目のインパクト・空間における存在感・意匠性は非常に高いキッチン形式ではありますが、調理スタイル・掃除スタイルによっては後悔することも多いキッチンですので、慎重に選びたいところです。
また、小さなお子さんがいる家庭も大変かもしれません。
アイランドキッチンは、その開放性ゆえに封鎖することが困難であることが多いです。前述のクローズ型、I型対面キッチン、ペニンシュラ型などはベビーゲートなどによるシャットアウトが用意に行えますが、アイランドキッチンは封鎖が難しく、小さいお子様や、ハイハイし始めた赤ん坊が入ってきやすい状況になります。
キッチンには刃物や熱いものなど、危険も多いので、お子様の年齢なども踏まえて検討されることをお勧めします。
Ⅱ型(セパレート型)キッチン
文字の通り、二列に並んだような上図のようなタイプのキッチンです。
シンク、コンロが別々になっているので、作業性がかなり上がり、複数人による作業も可能です。通常よりもキッチンの幅を抑えることができるので、間取りによっては効果的なこともあります。(ただし、スペースとしては広い面積が必要になります。)
一方で、便利ではあるのですが、使いこなせるようになるまでに少し慣れが必要かもという声もあります。カウンターが二つに分かれていることによって、熱い鍋をもって振り返るという動作が生じる、洗った野菜をもって振り返った時に、水が床にぽとぽと落ちる、など、慣れるまでの間に少しストレスを感じることもあるかもしれません。
振り返り動作が増えることに関して、慣れることができそうかどうかが判断の分かれ目になってきそうですね。
L型キッチン
文字通り、L型のキッチンで上図のような形式です。
一時期よく流行っていたという印象ですが、このタイプも移動がしやすかったり作業性が高いといわれます。
しかし、コーナー部分が結構デッドスペースになることが多いです。ワークトップ上では、コーナー奥にものを置くことができても、それを取るのに手を伸ばすのがちょっとしんどい、収納部分もコーナー部はものの出し入れが難しいなど、コーナー部といかに向き合うかが、鍵になりそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。各キッチンの特徴をしっかり押さえることができたでしょうか。以上のメリット・デメリットを比較しつつ、普段の調理スタイルを思い浮かべていただければ、ご自身にとって最適のキッチンスタイルを選定することができると思います。