家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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和室の作法で確認したいこと

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和室には実はいろいろなルールがあるということをご存じですか?

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。 

和室には、こうするべき・これは避けるべき、みたいな様々な作法があります。特に、和室特有のアイテムである畳や床の間などについての決まり事みたいなものが多いですね。

作法なので特に支障がなければ守っていくことが原則になってくると思いますが、内容によっては時として間取りを検討する上で制約になってきてしまうということも起こってきます。
このようなときに、作法を優先するのか、ご自身の希望や利便性を優先するのかの判断が必要になることもあるので、どのようなルールがあるかぐらいは把握しておいても損はないと思います。
以下にいくつかざっくりと決まり事をまとめてみましたので参考にしていただければうれしいです。 

床の間関連

床の間は和室の構成要素の中でも特に重視されるものです。

掛け軸、花など(最近ではアートや照明を置いてモダンな演出をすることも多いですね)を飾って四季を演出しお客様をもてなす役割も担います。この床の間を背にして座るところが「上座」として扱われます。上座なので、原則、床の間は部屋の入り口から一番離れている位置にレイアウトするようにします。

また、床の間は南向きか東向きのどちらかにします。天井の板材や畳の継ぎ目が床の間に対して直交しないように(床差しとならないように)する。これは、床の間という上座として扱う場所に畳の縁などがあると失礼に当たるという考え方によります。 

畳関連

まず、和室への入り口と畳の敷き方の関係についてですが、基本的に部屋の入口と畳は平行になるように敷くのが原則です。これは、畳の目の向きを人の進行方向と一致させて、畳表面の劣化を防ぐためという考え方によります。
入室時に歩くときの足の動く方向と、畳の目の方向が一致している方が、足の運びもスムーズで、畳の表面も傷みにくく長持ちします。

また、畳の合わせ目は十字にしないというのが一般的です。これを祝儀敷きと呼びます。逆に、畳の合わせ目が十字になる(4枚の畳の頂点が1点で重なる)敷き方を不祝儀敷きと呼びます。

また、4畳半の和室がある場合は「切腹の間」に注意してください。すごい名前ですが、卍型の敷き方の和室のことで、かつて武士が切腹するときに使用した間取りと言われています。逆卍型の敷き方であれば「茶室の間」と呼ばれ、OKです。あるいは普通に祝儀敷きであればこれも問題ありません。 

畳の敷き方で最近よくあるのが「市松敷き」です。正方形の琉球畳を、畳の目が交互になるように敷くことによって、畳が特徴的な見え方となり、空間のアクセントになります。縁無しの琉球畳を市松敷きにしたスタイリッシュなモダン和室、あるいは畳コーナーが最近ではかなり人気になってきています。 

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仏壇関連 

床の間と同じように南向きか東向きとします。ただしこれについては宗派によっても異なってくることがあるので、個々に確認が必要です。また、1階の和室に仏壇が置かれる場合に、その上部が居室になっていたり、人が歩くような場所になっているのはNGとされます。仏様の上を歩くのが失礼にあたるという考え方です。

なので、和室上部の2階部分は、基本的に人があまり立ち入らない収納スペースなどにしておく、あるいは和室上部は2階無し、つまりは下屋にしておくのが望ましいです。

ただし、これについてはなかなか間取りに与える影響が大きく、建物形状にも影響してくる要素になるので絶対に守らなければならないということもないと考えています。

個人の考え方によってどこまで優先するかを選択しても良いと思いますし、もし気にしないのであれば間取りの検討上余計な制約になってしまうので、使い勝手を優先されても結構かと思います。 

まとめ

今回は代表的な和室ルールをいくつか簡単に挙げてみましたが、内容によっては間取りへの影響が大きいこともあるので、ご自身がどこまで守りたいのか、作法と間取りの希望のどちらを優先させたいのかはしっかり検討の上、設計者の方に伝達するのが良いかと思います。