家具選びのポイントまとめ―ダイニング編
ダイニングテーブルは一生ものとも言われますよね。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
家づくりにおいて、家具選びで悩まれる方は結構多いと思います。
家具とは機能であり、家具を置くということは居住空間に機能を配置するということに他なりません。失敗してしまうと使い勝手が悪くなってしまったり、空間に違和感が生じてしまったり、残念な空間になってしまいかねません。
家具選びはそれぐらいとても重要なことなので、しっかりとポイントを押さえた上で選んでいきたいところです。
今回はダイニング空間について焦点を絞って、どのようなものを選んだらいいのか、どのような点に注意して選んだらいいのかがわかるように、ポイントをまとめていきたいと思います。ダイニングテーブルをこれから探す方、選び方に悩まれている方は必見です。
ダイニングテーブルのサイズ
主に食事の空間となるダイニングにおけるテーブルとイスの選び方についてまとめていきたいと思います。
まずは平面的な大きさを定めましょう。食事をするのに必要となるテーブル上のスペースは1人あたり幅60cm×奥行き40cm程度と言われます。少し余裕を見込んだとして、4人家族であれば150cm×90cm程度、6人家族であれば200cm×90cm程度といったところでしょうか。
4人家族であっても、親戚や友人を招くことが多いということであれば、6人テーブルにしておいても良いと思います。あるいは、普段4人しか使わないのに6人分のスペースを確保しておくのは空間がもったいないという考え方もあると思います。
そういった場合は、予備の椅子を備えておいて適宜お誕生日席で対応するのもいいですが、状況に応じてテーブルサイズを変更することができるエクステンションテーブル(伸長式テーブルとも呼ばれます)を選ぶのもいいですね。来客時以外にも、鍋やホットプレートを使うことが多いなど、ある程度のスペースを確保する必要がある食事のときも活躍してくれそうです。
テーブル上部の照明は、ライティングダクトにしておけば、エクステンションテーブルを広げたときに照明位置を適宜調整することもできるので便利ですね。
ダイニングテーブル周囲の動線
ダイニングテーブルそのもののサイズだけではなく、ダイニングテーブルの周辺についてもよく考慮しておく必要があります。ダイニングテーブルの周りに十分なスペースが確保できるか、テーブル周囲を人が通るのに支障がないかどうか。
まず、テーブルの端から60cmのスペースがあれば、椅子を引いて立ち上がることができます。まずはこの寸法がテーブル周りに必要と言えるでしょう。
次に座っている人の後ろを通りたい場合は、1mから1.3mのスペースが必要です。
着座時のテーブル端から椅子の背もたれまでが40cm、その後ろを通る人のための幅が60cm~90cmという内訳です。
天板の材質
天板の材質についてもそれぞれの特徴を知っておきたいですね。
無垢材、突板、メラミン樹脂などがあります。
無垢材
天然の木をそのまま使ったものです。天然木材ならではの質感・肌触りが魅力です。天然ゆえに、模様にばらつきがあったり、節などがあったりしますが、味としてとらえましょう。反りや割れなどが発生する可能性もある点は注意が必要です。
表面の仕上げはオイル仕上げとウレタン塗装の2種類があります。
オイル仕上げは本来の質感を生かすことができますが、ウレタン塗装に比べて汚れやシミはつきやすいです。飲み物などをこぼした時などはすぐに拭きとる必要があります。コップの輪ジミなどには注意したいですね。
オイルによる定期的なメンテナンスをきちんと行うことによって長きにわたってきれいに使い続けることができます。
また、ちょっとした傷や、沈着した汚れであれば、程度にもよりますがヤスリで削って、オイルがけして復活することができます。無垢ならではの特徴といえるでしょう。大事にメンテナンスして使い続けることができそうですね。何十年も昔のぼろぼろのダイニングテーブルを磨くと見事に復活したというような話も聞いたことがあります。
ただし、お値段が結構お高めになるのが無垢ダイニングテーブルの難点です。
突板
木材を薄くスライスしたシート材を、ベニヤ板に貼り付けた材質になります。 無垢材に比べて反りや割れを抑制することができ、品質も安定していると言えます。ただし、肌触りは無垢に比べて劣ってしまいます。また、スライスした薄い仕上げ材なので、傷がつくと下地が見えて目立ってしまいます。無垢材のように削って復旧することもできません。また、無垢材同様に水分を吸いやすいので、こぼした時はすぐに拭きとりましょう。
メラミン樹脂
人工材なので、柄や品質が安定していますが、天然素材独特の風合いや高級感はありません。また、汚れにも強く掃除もしやすいです。 表面も硬く、傷がつきにくいです。無垢材に比べて値段的にもお求めやすい感じです。
ダイニングテーブルの脚
次にダイニングテーブルの脚の形状について考えましょう。
四隅に脚がある4本脚タイプと、逆Tの字型の脚がテーブルの両サイドに着いた2本脚タイプが主な種類になるでしょう。
4本足タイプのメリットはがっちりと安定感があること。また、必要に応じてお誕生日席にも椅子をおいて利用することができそうです。見た目もすっきりしていて、床がしっかり見えてくれるので、少しでも空間に広さ感を与えたい場合は視覚的に有効です。
2本足タイプのメリットはテーブル四隅に空間があるので、椅子を下げずに体を横にスライドして席を立つことができます。椅子が重たい場合や、ベンチタイプの椅子の場合に有効です。なお、4本足テーブルの場合はベンチタイプの椅子を組み合わせるのは困難でしょう。デメリットとしては、足がじゃまになってお誕生日席が使えない点です。
ダイニングチェア
基本的にはテーブルとセットで選んだほうが、色味や素材のばらつきを防ぐことができて無難です。テーブルと椅子で同じ樹種で選んだけれど、違うメーカーの商品で微妙に色味や質感がちぐはぐにということも起こり得ます。天然素材なので個体差が生じてしまうという点はおさえておきましょう。ちなみにウォルナットはわりと色味や質感のばらつきが生じにくいと言われています。
ダイニングチェアの選定基準で大事なのはやはり座り心地ですね。
標準的なダイニングチェアの座面高さ(SHと表記されます)は40cm前後ですが、ダイニングテーブルとの組み合わせも重要です。テーブル天端と椅子の座面高さの差(差尺といいます)はだいたい27~30cmぐらいが標準的と言われています。これによって食事のしやすさが変わってくると思います。
家具メーカーによっては、椅子やテーブルの脚をカットして調整してくれるところもありますが、差尺についても考慮して慎重にカットしたいですね。
食事の時以外に、テレビを見るときは椅子の向きを変えたり、椅子を移動したりすることが多そうな場合は、椅子の重さや持ちやすさも考慮しておきたいですね。
その他、背もたれやひじ掛けの有無、座面のクッションの有無、クッションが汚れたときには取り外して洗えるかどうか、予備の椅子が複数必要な場合は使わないときにスタッキングして場所を取らずに保管できるか、等についても確認しておきましょう。
まとめ
今回はダイニングにおける家具選びの際のポイントをまとめてみました。テーブル一つ選ぶだけでもたくさんのことを確認しなくてはなりません。空間にマッチしていて使い勝手が良く、末永く使うことができる最高の家具を選ぶことができるようにこのページを参考にしていただければうれしいです。