夫婦別寝室間取りの可能性、メリットとデメリットは?
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
今回は主寝室について、夫婦一緒に寝るのか、別室にするのか、について考えたいと思います。夫婦の仲が良いということは必ずしも寝室が一緒とイコールとは限らないと思います。
主寝室を1つ用意してそこにご夫婦そろって就寝するという間取りが一般的に多いですが、場合によっては別々に就寝するという選択肢もあり得ます。決して多いわけではありませんが、最近少しずつ、夫婦別寝室間取りのご要望を見かけるようになってきたかな、という印象です。
夫婦の寝室を別々に分けるかどうかについては、部屋数が変わるので間取りへの影響も大きいことから計画の初期の段階で方針を定めておきたいところです。
部屋数が増える場合は面積、つまりはコストにも影響してきそうなので慎重に判断していきたいですね。
寝室を一緒にするか、別々にするかの「判断基準」は様々なものがあります。よくあるのはいびきや歯ぎしりで眠れない、というのが例として挙げられますが、その他にも実に様々なものが考えられます。
今回はそのような「判断基準」やメリット・デメリットをまとめていきますので、あてはまるものがないかどうかや、もしかしたら寝室を別々にしたほうがストレスが減りそうかも、より生活しやすくなりそうかも、みたいな考察をする際に役に立てればと思います。
夫婦別寝室にする理由・判断基準
ご夫婦の寝室を別々に分けるかどうかの判断基準や理由には様々なものがあります。自分たちにあてはまる内容があるかないか、下記の内容をお読みいただきながら考えていきましょう。
趣味の違い
寝る前にそれぞれのやりたいことがある。読書や仕事がしたい、ドラマや映画を見たい、音楽が聴きたい、一人でゆっくりスキンケアがしたい、など。例えばひとりが読書をしている横でもう一人は先に寝ることができる、みたいな感じでそれぞれの行動が違っていても一つの空間でストレスなく成立できれば一緒でも良さそうですね。しかし、照明がつきっ放しで眠れないとか、音楽がうるさいとかだと、ストレスになりやすいので、別寝室の可能性が出てきそうですね。
体質の違い
寝室を別々にした場合、エアコンの設定温度を気にしなくてよくなります。
快適に感じる温度設定が夫婦で一致していれば問題ありませんが、体感温度の差が大きい場合はストレスや体調不良につながることもあります。
体感温度の差が、衣類の調整でカバーできなくなってきそうな場合は寝室別々の選択肢が強くなってくるかもしれません。
生活リズムの違い
例えば仕事の関係で眠りにつく時間や朝起きる時間帯に夫婦の間でばらつきがあり、寝るときと起きるときの物音で相手の睡眠を邪魔してしまう、あるいは気を遣ってしまうなどがあれば、寝室別々の検討の余地があるかもしれません。
残業が多くて毎日帰りが遅く、帰宅すると奥さんがすでに寝ていることが多い場合などで、お互いにストレスを感じていないかを思い出してみてください。
意図しない睡眠妨害
いびき、歯ぎしりなどのようなお互いの「騒音」による意図しない睡眠妨害は、深刻な場合も多いです。悪気はなく仕方のないことではあるのですが、程度によっては距離をおいた方がお互いのためになることもあるかもしれません。
その他にも、寝相が悪い、夜中トイレに起きることが多い等、相手への意図しない睡眠妨害はいろいろなパターンがあります。
もしこれらの要因で目が覚めてしまうことが多くてストレスを抱えているようであれば、これから住む新居においては、寝室を分けるかどうかについて真剣に考えてもいいかもしれません。
就寝スタイル の違い
それぞれの就寝スタイルの好みがそもそも違うので、寝室を分けたほうがいいということもあり得ます。一人はベッドがいいけど、もう一人は和室で寝たいとか、照明の好みが違うとか。
もしご夫婦ふたりともベッドでの就寝スタイルが前提だとしても、布団やマットレスの肌触りや硬さ・柔らかさなどに細かいこだわりがある場合は寝場所を別々にしたいという選択肢になるかもしれませんね。最近では睡眠の質を重視していて寝具選びに強いこだわりをお持ちの方も増えてきているので、場合によっては重要な判断基準かもしれませんね。
睡眠は毎日のことなので、就寝スタイルに違和感を感じる可能性がある場合は、よく考える必要がありそうです。
一人のスペースがほしい
例えば一人暮らしの時間が長かった場合、一人で寝ることに慣れきってしまい、自分以外の人と同じ空間で寝ることにあまり慣れていない、落ち着かないという方もいます。自分ひとりで落ち着きを感じながら就寝できる寝室が欲しいというニーズもあり得ると思います。
決して仲が悪いわけではないけれど、一人で過ごす時間も大事にしたいという考え方をお持ちの場合ももちろんあると思います。
夫婦別寝室のメリット・デメリットまとめ
ここまでの内容も踏まえつつ、夫婦の寝室を分けることによるメリットとデメリットは下記のようになります。
メリット
■自分のペースで落ち着いて自由に睡眠することが可能。
■生活リズムや体質の違い、騒音や寝相によるストレス・ケンカの可能性が無くなる。
■自分に合った就寝スタイルや寝具の選択が可能。
夫婦の寝室を分けることによるメリットはやはり自分ひとりの空間を持つことによって自分のペースで寝ることができる、あるいは自分の好きな趣味の時間を持つことができるという点が大きいといえるでしょう。
自分に合った就寝スタイルを選択することができっますし、お部屋の空調温度も自分の体質に合った設定にできます。相手のいびきや寝相に悩まされるという心配も無くなるので、ストレス・ケンカの原因排除という点でも大きなメリットですね。
夫婦別寝室はどうしても夫婦の中が悪い・悪くなるというイメージが強いかもしれませんが、程よい距離感を保つことができて、一緒にいる時間を大切にするようになるなど、逆に夫婦仲が良くなるという意見も多いです。
デメリット
■夫婦間のコミュニケーションが減る。
■お互いの異変に気付きにくい。
■部屋数が増えることによるコストアップ。
一方でやはりデメリットについても十分注意しておきたいですね。夫婦間の程よい距離感がご夫婦の関係性にいい影響を与える場合もあればそうでない場合ももちろんあり得ると思います。就寝前の会話やコミュニケーション・スキンシップはどうしても減っていくので、例えば夫婦お互いに仕事で多忙で日ごろから一緒に過ごす時間が全然ない、食事もいつも別々、みたいな場合、就寝前のひとときは貴重なコミュニケーションの時間かもしれません。
「それぞれの時間」と「一緒の時間」のバランスは各ご夫婦によって異なってくると思いますので、慎重に考えながら間取りの方針を定めていきましょう。
その他にも、例えば寝ているときのパートナーの異変に気付きにくくなってしまうというデメリットも見逃せません。睡眠中に体調に異変が生じたり、睡眠時無呼吸症候群なども心配です。お互い隣で寝ていることによって得られる安心感というものは大きいものです。
そして、やはり部屋数の増加によるコストアップも忘れてはいけません。物理的に面積が増えるので建築コストにダイレクトに影響してきます。ベッドや布団などの家具や寝具の購入費用や、各お部屋の空調・照明の光熱費などもお部屋2つ分になってきますね。
まとめ
以上のようなことから夫婦で寝室を分けるという選択肢をとる場合もあれば、やはりコミュニケーションが減ってさみしいという意見の場合ももちろんあると思います。その場合例えば、部屋は一緒のままでベッドサイズを大きくするとか、ベッドだけ別々にする、家具で柔らかく空間を区切って一つの空間でそれぞれの居場所をつくる、エアコンとベッドの位置関係を検討して、風のよく当たる場所と当たらない場所を作る、などといった代替案で調整することも可能だと思います。
今回は夫婦の寝室を一緒にするか別々にするかの判断基準をまとめてみました。上記をご参照いただいて、一緒と別々のどちらがメリットが大きそうか、より快適な睡眠につながりそうか、一度ご夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
また、家づくりにおいては寝室に限らず、多岐にわたる内容の要望があると思います。あなたの要望やライフスタイルに沿った間取りを見積りとセットで提案してもらうにはネットでのタウンライフのサービスを活用するのも非常に有効です。住宅展示場にわざわざ足を運ぶことなく、複数の住宅会社から無料で間取り提案、見積もり、土地探しの相談に応じてもらえるので、これから家づくりをスタートされる方は、事前準備もかねて一度活用されてみてはいかがでしょうか。
その他、寝室に関しては下記の記事についても合わせて参照いただけると嬉しいです。寝室を計画する上での注意点や配慮すべき点、デザイン的なアイデアもご紹介させていただいています。ぜひ参考にしてみてください。↓↓
家づくりを成功させるための大切な準備については下記の記事が参考になりますのでおすすめです。これから家づくりをスタートされる方はぜひご一読ください↓↓