家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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キッチンのワークトライアングルとは?使いやすさと見栄え

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キッチンの作業性を考えるうえで「ワークトライアングル」というキーワードがよく登場します。

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

今回はこの「ワークトライアングル」という考え方を中心に、キッチンの使いやすさを考えるうえでのポイントをご説明していきたいと思います。

ワークトライアングルとは 

そもそもワークトライアングルとは何でしょうか。

キッチンでの作業性においては「火⇔水⇔貯蔵」の行き来がスムーズであることが重視されます。これはつまり、「コンロ」と「シンク」と「冷蔵庫」の間の行き来ですね。

この3つの要素を線で結ぶと三角形ができます。この三辺の長さの目安は3.6m~6.6m程度が目安と言われます。つまりは各要素の間を1~2歩以内で行き来できることが望ましいという考え方です。

チェックすべきは冷蔵庫の配置 

コンロとシンクの位置関係は、造作で作るキッチンである場合を除いて、システムキッチンの場合は基本的にキッチンの形として決まってくることが多いので、検討すべきは冷蔵庫の配置をどうするかというのがカギになってきます。

一般的には、冷蔵庫から取り出した食材をシンクで洗う流れがスムーズに行うことができるように、シンクに近い位置に冷蔵庫を置くことが原則となります。

しかし、冷蔵庫などのような大物の家電は、見た感じ結構生活感が漂うことが多いです。オープン型の対面キッチンやペニンシュラ、アイランドキッチンなどで、LDKにおける存在感を主張したいような、いわゆる「魅せる」キッチンとして扱いたい場合は、見栄えを重視してキッチンを奥側、つまりコンロに近い側にレイアウトすこともあります。

さらには、キッチンの奥にパントリーを設けてその中に冷蔵庫も置いてしまうという手法もあります。この場合は、完全に冷蔵庫はリビング側からは見えなくなるので、よりいっそう生活感を排除した演出が可能となります。

見栄えと使い勝手を天秤にかけて冷蔵庫レイアウトを決めていく感じになります。

冷蔵庫の配置を検討する際は、設置予定の冷蔵庫のドアの開き勝手も忘れずにチェックするようにしてください。右開きなのか左開きなのか、それによって使い勝手に不便が生じないか、あるいは両ドアだから支障はなさそうか、など。

また、冷蔵庫のような背の高い大物家電はやはり地震時の転倒が怖いです。

転倒そのものが危険であるだけでなく、中の食品がこぼれて飲み物がダメになってしまってしかも断水というような最悪の状況も考えられます。

転倒防止のための上部突っ張り棒などのケアはできればしておきたいですね。見栄え的にイマイチな感じになってしまいますが、もしパントリー内冷蔵庫であれば見た目はそこまで気にしなくても良さそうです。 

なお、パントリーを設ける場合は、そのための面積が当然必要になってきますが、あったらあったでメリットも多いです。パントリーを設けるメリットに関する記事はこちらをご参照ください。

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冷蔵庫への動線 

もう一点、冷蔵庫の配置を決める際に気にしておきたいポイントがあります。あなたは料理しているときに後ろを通られるのって気になりませんでしょうか。
例えばあなたが料理をしているときに他の人が後ろを通って冷蔵庫に向かい、飲み物を取りに行くようなシチュエーション。
この、「何かしているときに後ろを通られるストレス」は人によって感じ方がかなり異なってきますし、背後にどれぐらいの空き寸法があるかによっても感じ方は変わってきます。 
一般的にキッチンの背後に食器棚が置かれているレイアウトを想定したとして、キッチンと食器棚の空き寸法は90cmぐらいが標準的です。
120cmぐらいあれば、背後を通られてもそんなに気にはならないと思いますが、キッチンと食器棚の間が空きすぎていると何となく落ち着かなかったり、作業効率が低下する可能性もあります。
この辺りに関しては実際にメジャーを使ってシミュレーションされてみることをお勧めします。 

ゴミ

ワークトライアングルという三角形からもれている、結構大事な要素があります。

ゴミです。 

キッチンは家の中でもかなりの量のゴミが発生する場所です。しかもその種類も、生ごみ、プラ、缶、瓶など、バリエーションに富んでいます。

その分、ゴミをどこに捨てるのか、あるいは仮置きするのかは結構重要な要素のはずなのですが、見落とされることが多いです。

地域によって分別の仕方や回収の頻度なども異なるので、それに応じてゴミ箱の容量も変わってきます。

これも、パントリーや勝手口があれば便利ですが、無い場合、ゴミのためのスペースをどこに確保すべきか検討しておく必要があります。

例えばキッチンのシンク下や食器棚の一部をゴミ箱が納められるようにすることもできます。

シンク下であれば、例えば食材の下処理や野菜を皮むきしたり洗ったりしながら出てきたごみをそのままポイできて便利ですね。

まとめ(使い勝手よりも見栄えよりも大事にしたいこと) 

以上、今回はワークトライアングルという考え方に触れながらキッチンの

使い勝手や見栄えのバランスについて書いてみました。 各個人の調理スタイルや考え方によっても必要条件は変わってくると思います。

また、使い勝手やキッチンの見た目よりも個人的に大事にしたいと考えていることがあります。

それは料理をしているときにどんな風景が見えているかということです。

窓の外の景色が見えて、窓を開けて風を感じながら心地よく料理がしたとか、あるいは、TVを見ながら料理がしたい、お気に入りのインテリアデザインを見渡しながら料理がしたい、子供が近くで遊んでいるのを見守りながら料理がしたい、などなど。

使い勝手やキッチンの見た目も大事ですが、自分が見たい風景を見ながら料理を楽しむことができるキッチンもとても大事だと思います。

あなたは料理をしているとき、どんな「景色」が見えていたいですか?