間取りがライフスタイルにあっているか【後で後悔しない】
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
家づくりにおいて、どのような間取りにしたいのかについて考えるということはとても大切なことです。暮らす人のライフスタイルによって、最適な間取りというものは当然異なってきます。
ある人にとってすばらしく住み心地がいい家でも、他の人にとってはそうではないかもしれません。それだけ人々のライフスタイルは多様化しているからです。
しかし、ご自身の生活を振り返ってみてもなかなかそれが、どのように間取りにリンクしてくるのかなかなかイメージしづらいかもしれません。そして、イメージが思い浮かばないまま、何となく家づくりが進んでいってしまうと最悪の場合、家が出来上がってから、暮らしにくい、ライフスタイルに合っていないと後悔につながる可能性もあります。
今回は下記のような方にとって、ぜひ読んでいただきたい内容です。
■これから家づくりを始めるけど、どんな間取りを要望したらいいかわからない
■間取りを提案されたけど、生活のイメージが思い浮かばない
■今手元にある間取り図面が自分のライフスタイルにあっているか不安
■家ができてから間取りで後悔したくない
後々の後悔を未然に防ぎ、納得のいく家づくりを実現するためにもぜひじっくりお読みいただけるとうれしいです。
1日の生活を思い浮かべてみる
間取りとライフスタイルの適合性をチェックするには、朝起きてから夜寝るまでの1日の生活をしっかりとイメージしていただくことが何より重要であり、効果的であると言えます。
できるだけ具体的に脳内でシュミレーションすることによって、その間取りがあなたのライフスタイルに本当に適合しているかどうかが見えてくるはずです。日常生活における様々シチュエーションを朝・昼・夜と、時間帯別に順を追ってイメージしていってみましょう。
朝の間取りのポイント
例えばまずは朝起きたとき、最初に何をするかを考えてみてください。
身支度
食事の前に着替えや洗面などの身支度が先ということであれば、寝室の近くに洗面室があれば便利ですね。その場合、水廻りは2階になるのかもしれません。そうすると、洗面室に洗濯機が置いてあるので、その近くにバルコニーがあれば、洗濯するときの家事動線が短く済みそうです、など。
寝室の収納も中で着替えられるスペースのあるウォークインクローゼットであれば、起きてすぐに着替えるのがスムーズ。着替えてそのまま廊下に出られるウォークスルークローゼットになっているとさらに便利ですね。
朝食
朝は家族のみんなが出かける準備をするのであわただしくなるご家庭が多いかと思いますが、朝食の場面をイメージしてみてください。キッチンの形式や、ダイニングテーブルのレイアウトは、効率よく配膳&片付けができるようになっているでしょうか。
対面キッチンでキッチン越しに直接ダイニングテーブル側に料理を出せたらスムーズですね。フルフラットのワークトップであれば、カウンター部分で食事を簡単に済ますこともできるので、とにかく朝食を手早く済ませたい場合には有効ですね。
逆に、家族みんなそろってのんびりと落ち着いた雰囲気で朝食をとることが多いということであれば、爽やかな朝の日の光を浴びながらがいいですよね。ダイニング空間はぜひ東側に面して配置するのが良いでしょう。
ただし、狭小地の場合などでは注意が必要です。ダイニングを東側にレイアウトしても、すぐ隣が隣家の外壁になっているとほとんど朝日が入ってこないという場合もあります。
朝日を感じながらの朝食が絶対ということであれば、隣家からの離隔が十分に必要ですが、厳しい場合は2階LDKという選択肢についても検討してみましょう。2階リビングについては下記の記事にてメリットとデメリットを網羅していますのでご参照いただけるとうれしいです↓↓
洗面
洗面所も混雑してくると思います。特に女性が多いご家庭では、朝の混雑が大変かもしれません。洗面室の規模については要確認です。洗面化粧台の幅が少し大きめであれば済む場合もあるかもしれませんが、必要に応じてツーボウル洗面化粧台にしたり、各階に洗面化粧台を設けたりするということも考えてみてはどうでしょうか。
お昼の間取りのポイント
日中の過ごし方は多種多様で様々な場面が想定されます。まずは主婦の方々の家事についてイメージしてみましょう。
洗濯
家事の中で特に作業工程が多く、移動による負担も大きいのが「洗濯」です。
洗濯機と物干しスペースと片付ける場所の3つの場所がなるべく近くにあった方が、移動の負担が減って時間につながるでしょう。「朝」の部分でも少し触れましたが、例えば洗濯機が置いてある洗面室と、バルコニーが隣接しているとかなり便利です。
バルコニーの向きについては南面がやはり望ましいですが、朝から洗濯して午前中には干してしまうという方にとっては、東向きでも可能ですね。
洗濯機が1階の洗面室ということであれば、物干しできる庭が近くにあると効果的ですね。
さらには、家族の衣類が1か所の大きなウォークインクローゼットにまとめられていれば、乾いた洗濯物をたたんで片付けるための移動が大幅に削減されます。
このような移動距離の削減は、家族人数が多くて洗濯機を回す回数が多い場合に効果的です。逆に言うと、夫婦のみのご家庭などでは、洗濯は1回で済んだり場合によっては数日おきにまとめ洗いというケースも多いので、優先度は低くても良いでしょう。
洗濯に関しては下記の記事の合わせてご参照ください↓↓
買い物
お買い物に関してはいかがでしょうか。毎日ではなく何日かおき、あるいは週末にまとめ買いして買い溜めするという方には、キッチン周りに工夫がほしいところです。最近ではコストコなどで保存のきく食品を大量購入する方もかなり増えてきていると思います。
このような食品を保管することができるパントリーがあれば理想的ですね。冷凍食品を大量買いするなどの傾向があれば、必然的に冷蔵庫サイズも大きくなってくると思いますので、冷蔵庫の設置に必要なスペースについても寸法を確認しておきましょう。
また、このようなまとめ買いは車で買い物に出かけることも多いと思いますが、帰ってきたときに荷物も多いので、駐車場から玄関が近いほうが楽ですよね。さらには、玄関とは別で勝手口があればよりいっそう理想的です。
勝手口からキッチンに直接アクセスができるような間取りになっていれば、荷物が多いときなどの搬入作業が格段に効率よくなります。勝手口やパントリーに関しては下記の記事も合わせてご参照いただけるとうれしいです↓↓
どこでくつろぐか?
日中はどこでどのようにしてくつろぐのかという点についてもぜひイメージしておきたいですね。
リビングでソファにごろんと寝そべってテレビを見るという方も結構多いと思います。あるいはダイニングテーブルに座ってティータイムというオシャレな感じの時間の須賀仕方が好きというかたもいらっしゃると思います。
リビングダイニングでは特にテレビの配置に気を遣っておきたいところですね。食事中はテレビは見ない、というスタイルの場合もあれば、リビングとダイニングの両方からテレビが見れた方が良い、あるいはリビングとダイニングのそれぞれに1台ずつテレビを置くというパターンもあるかもしれません。その場合は、リビングとダイニングを別々の部屋にして置いたり、必要に応じて区切れるようにするなどの対応が考えられますね。
テレビの配置に関しては日当たりとの位置関係についても考えておきたいですね。窓の向きや方角によってはテレビが見づらくなってしまったりで、ストレスに感じてしまうこともあるかもしれません。
逆に、日中は出かけていることが多いというご家庭にとっては、日没以降のテレビ利用さえ考慮すればよいので、気にする必要が無くなったりもします。
テレビの配置に関しては下記の記事も合わせてご参照いただけます↓↓
来客
休日などのくつろぎタイムも大切にしたい場合は来客時のことも配慮しておきたいですね。来客頻度は高い方でしょうか、少ないほうでしょうか。
例えば、ご主人が休日でのんびりとリビングで過ごしているときにお子さんや奥さんの友人が来たときに何となく過ごしにくくなったりすることもあるかもしれません。来客時に対応できる客間があれば問題なさそうですね。お子さんの友人ということであれば、リビングを経由することなく廊下から階段を経て直接子供部屋にアクセスできる構成であればそれもありですね。
リビングを経由して2階の各部屋にアクセスする、いわゆるリビングアクセスの形式だと、来客時の鉢合わせが問題になることがしばしばあります。一方でリビング階段についてはメリットもあるので下記の記事も合わせて参照いただければうれしいです。↓↓
夕方~夜 の間取りのポイント
夜は家族のみんなが帰ってきて、一日の疲れを癒したり一緒に団らんを楽しむ時間ですね。間取りで気を付けるべきポイントを考えていきましょう。
帰宅
お子さんが帰ってきたときに、手洗いうがい、服の脱ぎ着替え、学習用品の片付け整理整頓がスムーズにできるような動線になっているといいですね。最近では洗面室とは別で、玄関廻りにもう一つ手洗い用の化粧台が要望されることも多くなってきました。
お子さんが小学生の間ぐらいは、リビングやダイニングなどの目の届く場所で宿題ができるように、というような要望も多くなってきました。この場合、学習コーナーと合わせて、リビング周りに学習用品の収納スペースを確保しておくようにしましょう。
料理
夕食の準備をする場面も思い浮かべてみましょう。休日の夕食は家族で協力して用意することが多いですか?友人を招いて一緒に料理することが多いですか?複数人での作業が想定される場合は回遊性のあるアイランドキッチンが作業性が良く、調理中のコミュニケーションも弾んで料理を楽しむことができますね。
逆に、調理に集中したい場合は個室型のキッチンもお勧めです。各個人の調理スタイルによってどのキッチン形式が適しているのかは千差万別です。キッチンの形式ごとの特徴は下記の記事でも詳しくまとめていますので、ぜひご残照ください↓↓
夕食
夕食は家族みんな揃って食べますか?親戚や友人を招いて一緒に食べることが多いですか?食事に関連して考えておきたいのはダイニングテーブルのサイズです。何人で座るかによって、おおむね下記のようにサイズが変わっていきます。
4人用:幅130cm~150cm×奥行き90cm
6人用:幅180cm×奥行き90cm
ダイニングテーブルが問題なく配置することができる空間を用意するためにも、人数とサイズの方針を考えておきましょう。あとでテーブルが置けない、周囲が狭くなるといったことが生じないためにも。
ダイニングテーブルの選び方については下記の記事で詳しくまとめていますのでぜひご参照ください↓↓
寝室
帰ってくる時間帯にばらつきがある、たとえばご主人が仕事で帰りが遅く、みんなすでに寝静まっているというケースもあると思います。そんなときに、帰宅時の物音が気になることがあるかもしれません。 ちなみに扉は引き戸よりも開き戸のほうが、音を立てずにそーっと開け閉めしやすいですね。
ご夫婦の間で就寝時の物音が気になる場合は、夫婦別室という選択肢もあり得るかもしれません。夫婦別々の寝室については下記の記事に内容をまとめていますのでぜひお読みいただければうれしいです。↓↓
その他、寝室については部屋の大きさや、ベッドのレイアウトなども間取りに影響してくるので、しっかりとイメージしておきたいですね。ただ寝るだけではなく、テレビを置いたり、一部書斎コーナーにしておきたいのか、化粧台を置くかなど、寝ること以外の機能の必要性についても考えておきましょう。
寝室については下記の記事にて詳しくまとめています↓↓
まとめ
いかがでしたでしょうか。
朝起きてから夜眠るまでの時間の流れに沿って、一日をシュミレーションすればあなたのライフスタイルに適した間取りを実現するために必要なことがしっかりと見えてくるはずです。
本記事の内容をおさえた上で納得いくまで空間を思い浮かべながら、その中でのあなたの暮らしを思い浮かべてみてくださいね。