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風致地区で家を建てるときに知っておきたいこと

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土地探しのときに「風致地区」というワードに遭遇したことはありますでしょうか。

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

 敷地には様々な法的規制がかかってきます。今回はその中でも「風致地区」と呼ばれるキーワードに着目してみようと思います。

風致地区で住宅を計画する場合、一般的に様々な制約がかかってくることが多いです。どのような制約がかかってくるのかをある程度知っておくことで、計画の初期あるいは土地選定の段階で最適な判断ができると思います。 

土地を取得してから後悔することを防ぐためにも、風致地区がどんなものなのか概要だけでもある程度理解してきましょう。

風致地区とは 

まずは、そもそも風致地区とは何なのかについてです。

例えば大阪市名古屋市のホームページを見ると以下のように書いてあります。 

風致地区は、都市における樹林地、水面、広陵、その他の自然景観を主体とした区域や、自然風致と調和した住宅地等の市街地、歴史的建造物遺跡等のある区域を風致地区として指定しています。これにより生活環境にうるおいを与え、都市全体に風格を与えようとするものです。”(大阪市ホームページより)

 

 

風致地区とは、都市計画で定める地域地区の一つで、都市における良好な自然的景観を維持するために、特に必要な区域に指定されています。名古屋市では、東部丘陵地を中心に約3000ヘクタールの区域を指定しており、自然的環境を保全し、緑の豊かな低層住宅地を形成することを目指しています。この地区では一定の行為が制限されますが、市民の皆さまのご協力により良好な居住環境が維持されています。”(名古屋市ホームページより)

 

 

つまり、都市全体で街並み・景観を秩序付けていくことによって、緑などの自然環境や歴史的な情緒、そういったものを守っていきましょう、そのために、建物を建てるときはこういうルールを守ってね、みたいな感じです。

例えばどんな規制がかかる?

ただ、このルールというのが多種多様で、場合によっては結構な制約になってくることも多いです。建物の大きさや形をまともに規制していたりします。具体的にはどのようなルールがあるのか、これについては各地域の条例によって異なりますが、例えば以下のようなものがあります。 

【数値的な規制の例】

・建物高さ:●●m以下にしなさい、等

建蔽率:●●%以下にしなさい、等

・壁面後退:道路境界線から●●m以上、隣地境界線から●●m以上壁面後退させなさい、等

・緑化:緑化率●●%以上を確保しなさい、等

例えば建物高さ8m以下にしなければならない場合、3階建ての住宅の計画は難しくなってきますね。

建蔽率が40%以下に指定されていたり、壁面後退が1mとか2mとか指定されてしまっていると、狭小な敷地では建物を建てられる面積がかなり制約されてしまったり。

植物は虫がイヤだし、お手入れもイヤだから庭に植栽は作りたくないのに、緑化を確保しなければならなかったり。。。

注意しておかないと色々な制約が出てきて実現したい要望が危険にされされる可能性もあるので、「風致地区」という言葉に遭遇した時点で普通の敷地とは少し違うという感覚を持った方がいいかもしれませんね。

 その他にも、建物のデザインなど、見た目的な内容の規制もあります。例えば以下のような内容です。

【意匠的な規制の例】

・屋根材料形状:瓦を使いなさい、勾配屋根として●●cm以上の軒の出を確保しなさい、等

・外壁材:土壁、しっくい、焼杉板張りなどの和風っぽいものにしなさい、等

・色彩:低彩度の色彩とし、光沢の少ないものにしなさい、等

・その他:エアコンの室外機は公共空間から見えない位置に配置しなさい、周囲の景観に調和しないものはダメ、等

結構意匠的な内容にも規制が生じる場合があります。また、周囲との街並みとの調和とかになると、感覚的な要素も絡んでくるので、役所の担当者によって協議が難航したりすることもあります。

外観はこういう色、材質を使ってこんなファサードにしたいという確固たるイメージがある場合は、要注意です。そのイメージが危険にさらされる可能性があるので、土地選定の段階で条例をよくチェックする必要があります。

まとめ

このように風致地区には様々な厳しい規定がたくさんあることが多く、建物の形状やデザイン、特に外観に大きく影響する可能性が高いです。風致地区に出会ったときは、よくよく注意しながら計画を進めていかれる、あるいは計画を進める前にそもそも風致地区で希望が叶うかどうかをある程度確認することが大事だと思います。