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キッチンに勝手口はあった方がいい?メリットとデメリットまとめ

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キッチンに勝手口があると何かと便利になることが多いです。

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

勝手口とは、玄関とは別に設けられる台所の出入り口のことです。玄関を表の出入り口として考えると、勝手口は裏の出入り口ととらえることができます。

勝手口があることによっていろいろと便利なこともあるので、キッチンに勝手口を設けるかどうか迷っている方も多いと思います。今回は、勝手口があることによるメリットと注意点等をまとめていきますので、勝手口をつけるかつけないかを検討されるときに参考にしていただければうれしいです。 

勝手口のメリット

ではさっそく、勝手口がある場合のメリットです。やはり何よりも家事効率の向上が挙げられると思います。 

ゴミの搬出

キッチンは生ごみを含めて日々たくさんのゴミが発生する場所です。これらを家の裏側に仮置きする場合、勝手口があれば直接すぐに家の外に出せますね。勝手口がない場合は家の中の居住空間や廊下、玄関を通っていくルートになってしまうので、衛生面やニオイ等が気になると同時に重たいゴミをもって移動する動線も長くなってしまうので、家事の負担が増えていくことになります。 

買い物帰りの荷物搬入

 次に挙げられる点としては、買い物時の荷物の搬入のしやすさです。買い物してきた重たい荷物を持った状態で、玄関→廊下→リビングダイニング→キッチンみたいに長い距離を移動するのは大変です。特に平日が忙しくて週末に買い溜めをすることが多い方は、一回の買い物における荷物の量も多くなってくるので、直接さっと台所にアクセスできる勝手口があればかなり便利です。

また、根菜類などは冷蔵庫に入れずに保管する方もいると思いますが、傷まないように保管するには特に冬などは外に置いておきたいという場合もあると思います。キッチンに床暖房を入れている場合は特に野菜が温かさで傷みやすいので、勝手口で必要に応じて野菜を出し入れできれば便利ですね。 

ちなみに買い物時の搬入以外にも、家庭菜園をされている場合は、収穫した泥のついた野菜等を直接台所に持ち込むことができるという便利さもあります。 

採光・通風

そして、キッチンへの採光・通風という点でもメリットがあります。自然光をキッチンに取り入れることができることによって朝の調理を爽やかな時間にすることができます。明るい空間で楽しみながら料理がしたいような方には大きなメリットと言えるでしょう。

ニオイや湿気・熱気が発生しやすいキッチンなので、当然換気扇はあるものの、勝手口を開けて外気を取り入れることができれば短時間で空気の入れ替えができるので、キッチン空間の快適性向上や衛生面の維持としても効果が大きいです。 

避難

その他、緊急時の避難動線を考えると、玄関という避難口に加えて、勝手口というもう一つの避難ルートが確保できるので、2方向避難という観点で勝手口の存在を重視する方も多いです。 

このように、勝手口はあれば何かと便利なことが多いので基本的には勝手口ありきで考えたほうが良いと思います。 

勝手口のデメリット

 ただし、何点か気になる点もあります。

 ここからは勝手口を設ける際に注意しておきたいことをまとめていきます。 

防犯

まず、家の出入り口が増えるということは多かれ少なかれ防犯上のリスクは上がるということになります。特に家の裏側の目立ちにくい部分に勝手口は設けられることが多いので、侵入者にとっては目立たずに侵入しやすいということになります。防犯が気になる方はセンサーライトや監視カメラを設けてケアするという選択肢もあると思います。 

 泥棒のほかにも、侵入してくるものがあります。虫です。もちろん他の窓からも虫は侵入してきますが、だいたいの窓には網戸がついていますよね。勝手口のように人が出入りするような開口部には基本的に網戸がついていないので、ちょっと開けたときに虫が飛んで入ってくることもあります。開口を増やすということはつまり、虫の侵入経路を増やすことにもつながるという点に注意したいです。虫を寄せ付けない防虫グッズなどでケアすることも大事かもしれませんね。 

温熱環境

 開口部が増えるということは、防犯面だけではなく温熱環境への影響も増えてくるということにもあります。便利な勝手口を使えば使うほど、それだけ勝手口扉の開け閉めが増える、つまりは冬は室内に冷気がそのたび流入してきたり、夏場は外の熱気が室内に流入してくるということになり、光熱費に多少は影響してきそうです。勝手口の仕様を断熱性の高いものを選定する、不用意な開け閉め、開けっ放しは避けるなどの運用でカバーしていく必要がありそうです。 

勝手口の見た目

あとは、ドアのデザインにもよりますが、勝手口扉はあまりカッコよくないことが多いです。キッチン内部がリビングダイニングから見えやすい間取りなどの場合は、扉のデザインを気にしながら選定することをお勧めします。あるいはロールスクリーンなどで普段は勝手口の扉が見えないようにしておくなどの手法もありますので検討してみてくださいね。 

まとめ

今回は勝手口の利点と、注意点をまとめました。基本的には家事効率の面で利点が多いのであった方が良さそうですが、デメリットの部分が気になる方は、必要に応じて上記に挙げたような運用面でのカバーや防犯対策の追加検討なども視野に入れながら要否を検討してみてください。勝手口による出入りは不要だけど、採光や通風はほしいという場合は、人が出入りできない幅の細長い窓だけ設けるなどの選択肢もあり得ると思います。そもそも勝手口なんて使わなさそうということが明らかな場合は、割り切って無くしてもいいと思います。不要な開口部を設けてしまうことは、無駄に家の弱点を増やしているようなものです。 

ご自身の家事スタイルを振り返っていただきながらこの記事を参考に、勝手口の要否をご検討いただければ幸いです。 

また、勝手口のことを考えるときは、パントリーのことも同時に知っておきたいですね。下記の記事にてまとめているのでぜひご参照ください。 

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