通風を確保して快適な居住空間を実現する方法
爽やかな風通しを部屋の中に取り入れることは快適な居住空間を創出する上で欠かせません。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
家の中の快適さを大きく左右する通風。採光や眺望などは気にしていても、目に見えない風のことはついつい見落としがちになることがあるかもしれません。
心地よい風通しをしっかりと室内に取り込み、快適な居住空間をつくりだすための方法論を今回はまとめていきたいと思います。
風がどこからふいてくるか?
夏の湿気と温度を抑えるためには南北方向に吹き抜ける風の通り道が必要不可欠です。
しかし、風の向きは地域や季節によっても異なってきます。
気象庁のHPなどで地域ごとの、時期ごとの風向きの過去データなども参照にして、どの方向の風の抜けが多いのかも合わせて確認することもできます。
もし家を建てる敷地が、これまであなたが住み慣れた土地であれば、これまでの経験からどの向きに流れていく風がいちばん心地よいかなどを改めて意識してみるのも良いでしょう。実際にそこに住んでいる人の体験に勝るものはありません。
窓の設け方
上記を踏まえて、例えば南風をしっかりと受け止められる建屋配置として、南面と北面にそれぞれ窓を設けて、家の中を風が抜けるように導いていきます。
風は「入口」だけでは通り抜けてくれません。
必ず風の「出口」も合わせて計画してください。
また、密集した住宅地などでは、建物どうしの間隔も小さく、風が滞ることが多いです。一般的に敷地の南側を大きく空けて庭を設けることが多いので、自ずと北側隣地境界に建物をめいいっぱい寄せることが多いですが、よせすぎてしまうと、せっかく上記のように北側に風の出口を設けても滞ってしまってうまく通り抜けてくれません。
ほんの少しでもゆとりをもたせた建屋配置計画ができれば、風通しのよさにつながると思います。風の出口付近での滞りを解消できるように意識したいですね。
また、窓の大きさは「入口」「出口」ともになるべく同じぐらいの大きさにしておく必要があります。どちらかの窓のサイズが小さくなってしまうと十分な通風が期待できなくなってしまいます。
角部屋になる場合は、2面開口が可能になるので、通風上有利に計画しやすいです。ぜひ2か所以上の窓を計画するようにしましょう。その際、窓を設ける位置としては、なるべく部屋の対角上になるように計画することによって、より効果的な通風ルートを確保することができます。
また、可能であれば風の出口と入口のそれぞれの窓にレベルを与えることができれば、より効果的な通風を得ることができます。温度差の浮力によって、低い入口から高い出口に向かって風が抜けていくイメージです。吹き抜けやトップライトとの併用ができればさらに効果的です。
風を取り込む入口部分の窓の種類としては縦すべり出し窓が非常に効果的です。開いた窓部分が風を室内に誘い込んでくれるウインドキャッチャーとして機能します。建物に対してあらゆる角度でふいてきた風をしっかりと受け止めて、室内に取り込んでくれます。一方で、引き違い窓などの場合は外壁に平行にふいた風は室内に取り込んでくれません。
その他、開口部付近に袖壁や植栽などを設けることによって、風を室内に取り込むということも可能です。
まとめ
このように、ちょっとした配慮で室内の通風条件は大きく変わってきます。
それによって、家の中の居住環境も大きく向上します。
風がどこからふいてくるのか、どの窓から風がどうやって出入りするのかを確認しながら、ぜひきちんと風の通り道を検討してみてくださいね。