家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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家づくりにおける防犯対策まとめ

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防犯対策についてはしっかり検討されているでしょうか?

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。 

家を建てるにあたって、どのような防犯対策を講じるかについては、住み手にとって大きな検討事項の一つであることは言うまでもないと思います。大切な家族の安全や財産を守るためにも、防犯対策を考えることはとても重要なことです。

まずは防犯対策にどのような種類があるのかを知り、より適切な手法をチョイスしていくのが良いと思います。

今回は様々な防犯対策について、犯罪者の心理なども交えながらまとめていきたいと思います。防犯についてしっかり検討されたい方は必見です。 

標的になりやすい家とは 

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外構はオープンかクローズか

 

まずはどのような家が泥棒から狙われやすいかを知ることから始めたいと思います。これを知ることによって、まずはなるべく標的にならないような家の形を計画に盛り込んでいくことができると思います。

泥棒や空き巣が何よりもまず標的にしようと考えるのは、死角が多く隠れやすい場所が多そうな家です。

よくあるのが、外部からの視線を遮ったり、侵入を防ぐために高い塀や生垣を四周ぐるりと囲んで守りを固めたような外構計画です。この場合、一見しっかり囲まれていて安心してしまいそうですが、ひとたび侵入者が塀の中に入ってしまえば、周囲からの目が行き届かなくなり、泥棒にとっては人目にさらされることなく、侵入作業を行うことができるということになります。 

よって、むしろ道路側からの見通しがきいていて、隠れる場所がなく、人目に付きやすいような外構計画とすることで、泥棒に侵入しやすそうだと思わせないようにするのが大切です。 常に歩行者からの視線にさらされることで、侵入作業を行いにくくすることができますね。

ちなみに最近では道路側に塀や門扉を設けずにオープンなアプローチ計画とする方も増えてきています。上記のように周囲からの見通しを確保することで、泥棒の隠れ場所・死角を無くして防犯性を向上させることがあできる他、外構工事費用を抑えることができるというメリットもあります。

一方で、やはりどうしても家が囲まれていないと心理的に落ち着かないという方も当然いらっしゃると思います。例えばこれまでずっと塀に囲まれた家や、マンションで暮らしていた方が、新築で突然塀の無いオープンな家に住むことになるとなかなか慣れないかもしれません。

そのような場合は、塀を設けるにしても高さを低く抑えておくとか、ある程度見通しの効くデザインのフェンスや塀を使って囲むようにしましょう。フェンスにもさまざまな製品がありますが、下図の写真のように、タテ格子型のデザインを選べば足がかりになりにくいので、侵入を防ぎやすいでしょう。

 

f:id:Frappuccino:20191105221132p:plain出典:「LIXIL」HPより引用

   https://www.lixil.co.jp/lineup/gate_fence/

砂利も有効

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手軽に取り入れやすい防犯対策としては、「砂利」を使うという手法もあります。家の周りの地面を砂利敷きにしておくことによって、侵入者がその上を歩くと音が鳴るようにしておくのです。踏んだ時に特に大きな音がなるような【防犯砂利】 と呼ばれるものもあります。

コンクリートを打ったりブロックなどで舗装を仕上げるよりも、外構工事の費用を抑えることができるというメリットもあります。ただし、単に砂利を敷くだけだと雑草だらけになってしまうので、防草シートを忘れず敷いてもらうようにしましょう。

侵入に手間がかかりそうと思わせるのが重要

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都市防犯研究センターの資料によると、泥棒は侵入に5分以上かかると7割が諦めるとされています。また、10分以上かかるとほとんどが諦めるとも言われます。

侵入の被害に遭うことを100%防ぐということはなかなか難しいかもしれませんが、侵入するのが難しそう、侵入するのに手間・時間がかかりそうであると、侵入者に感じさせることで、標的になりにくい家を作ることは可能です。

例えば監視カメラやセンサーライトなどの防犯設備の設置は、思いつきやすくて常套手段ではありますが、抑止力という点では一定の効果があると言えるでしょう。家の裏側や隣家との間などはどうしても見通しが利きにくくなるので、このような部分にセンサーライトや監視カメラの設置ができれば、抑止力として効果が期待できます。

カメラがそこにあることによって自らの犯行が記録される可能性があるということを泥棒は認識します。センサーライトは近づくと反応して光や音で警戒する防犯設備です。泥棒は自らの犯行が周囲に知られて通報されないように、これらの防犯設備が設置されていることを認識した時点で諦めていく傾向があります。

このように、「防犯設備が設置されている」=「防犯対策が講じられている家」であると、泥棒に認識させることによって被害に遭うリスクを抑えることができます。

防犯対策における重要検討事項―「窓」

 

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CPマーク

 

泥棒の7割以上は窓から侵入すると言われています。防犯ガラスの採用や、あるいはガラス面への防犯フィルム貼り付けという手法もあります。手軽なものであればホームセンターなどでも購入することができます。さらに、CP認定を受けた防犯ガラスフィルムを、「防犯フィルム施工技能者」の認定を受けた有資格者に施工してもらい、さらなる耐久性を持たせることも可能です。

なお、「CP認定」とは、警視庁・国土交通省経済産業省・その他の関係民間団体で構成される官民合同会議の中で定められた「防犯性能の高い建物部品」として認められたものを指します。具体的には防犯性能試験において、5分以上侵入を防ぐことができるものとされています。

CP認定を受けた建材は下図のようなCPマークがついています。

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泥棒はこのCPマークが窓についているのを見て、窓を破るのに時間がかかると認識して諦めていくともいわれています。

防犯ガラスについては下記の記事でも詳しくまとめていますので合わせてご覧ください↓↓ 

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網入りガラスは安全だという誤解

 

よく誤解されている方が多いのは、網入りガラスが防犯上有効という考え方です。網入りガラスに防犯性能は全く無いということをぜひ覚えておいてください。網入りガラスの役割は「防火性能」です。準防火地域で防火性が要求される部分に窓を設けるときに使われます。火災のときに熱膨張でガラスが割れるとそこから隣家へ延焼する恐れがあります。この時に網が入っていればガラスが割れても飛散しないので延焼を防ぐことができる、という考え方です。

むしろ、網のおかげで割ったガラスが飛散せずに音の心配がないので、泥棒から狙われやすいともいわれています。

なので、網入りガラスだから防犯上安全な窓ということの無いように注意しましょう。

防犯シャッターや面格子

 

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窓の防犯性能をアップさせる方法にはシャッターや面格子を追加するという選択肢もあります。大きな掃き出し窓がある場合はシャッターを付けると安心ですね。防犯性能だけではなく、近年勢いを増してきている台風の時などにも心強いですね。

シャッターは基本的に侵入の弱点になりやすい1階の窓周りから優先的に設けていくべきですが、2階のバルコニーについても侵入の弱点になりやすいので設置を検討しましょう。玄関上部の庇、隣の家、電柱、木、あらゆるものを足場として軽々と泥棒は2階にも侵入してくる恐れがあります。

また、家の裏手にあるお風呂屋洗面室などといった小さな窓も死角になりやすく、侵入経路として泥棒から狙われやすい部分になってきます。このような場所には面格子が効果的です。面格子に関しては以下の記事においても詳しくまとめていますので合わせてご覧ください↓↓ 

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引き違い窓の錠前にも注意

 

引き違い窓の錠前としては一般的にクレセントが付いていますが、結構閉め忘れてしまうことが多いのが要注意です。特に怖いのが、窓が完全に閉められていない状態でクレセントを回してしまって、「窓を閉めて鍵もかけたつもり」が実は開いた状態のままということもあります。これについては、きちんと窓が閉まっていない状態ではクレセントが回らないという機構のものもあるので、閉め忘れ防止には効果的です。

引き違い窓は狙われやすい

 

窓は侵入経路として狙われやすいですが、窓の種類別でみると引き違い窓はその形状から特に狙われやすいと言えます。引き違い窓を破るときは、クレセント周囲の部分だけ、小さな範囲でガラスに穴をあけ、そこから内部のクレセントを回せば比較的簡単に侵入することができてしまいます。一方で、縦辷出し窓うあ横辷出し窓は内部のハンドルをくるくる回さないと窓をオープンすることができないので、少し侵入に手間がかかってしまいます。さらに、嵌め殺し窓(FIX窓)は基本的にガラスを割ることが前提になってくるので、音が鳴らないように丁寧にガラスを割る必要があり、侵入者にとっては結構な手間と時間がかかってしまいます。また、ガラスを割るということは破片でけがをする恐れがあります。血液によるDNAを現場に残してしまうことも、泥棒にとっては捕まるリスクになるので、あまり狙いたくない窓といえるでしょう。

各場所に設ける窓については、眺望・採光・風通しなど様々な必要条件があると思いますが、防犯性のことも合わせて検討しながら不用意な窓の計画をしないということが重要です。

玄関ドアについても防犯対策を考えておこう

 

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泥棒が狙うのは窓が多いですが、玄関ドアや勝手口についても注意しておきましょう。

まず、可能な限り侵入に時間がかかるようにすることが有効なので、鍵については1つより2つが基本です。2つあれば侵入に要する時間も2倍かかりますよね。

また、間取り上玄関ホールに窓が設けられない場合、玄関扉のすぐ横に縦長のスリット窓を設けて光を取り入れることがあると思いますが、このガラスを破って手を突っ込んで室内側のサムターンを開錠して侵入されるという被害が考えられるので注意が必要です。

最近では上記のような被害を防ぐためにサムターン自体が脱着できるような製品もあるので検討してみましょう。施錠後にサムターンそのものを外してどこかにしまっておけば、サムターンを狙った侵入を防ぐことができますね。

 

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 出典:「YKK AP」HPより引用

   https://www.ykkap.co.jp/  

 

勝手口については、あると便利で使い勝手上様々なメリットもあるので利便性のことだけを考えると魅力的ですが、家の裏手の出入り口ということで非常に狙われやすい部分でもあります。防犯性能を重要視するのであれば思い切って勝手口は無しとするのも視野に入れたほうが良いでしょう。

長期間の留守にも配慮した防犯対策を

 

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その他、留守の時間が長かったり、日中誰も家にいなかったり、旅行などで長期間不在にすることで、「誰もいません」感が泥棒に伝わってしまうのも怖いですね。

例えば、長期間の留守で連日照明がつかないままの状態が続くのは良くないですね。タイマー制御で、夜になると玄関廻りや部屋の電気がつくように設定しておくのが効果的です。

旅行などの間に、郵便物がどんどん溜まっている感じも不在感がわかりやすいです。泥棒は普段から家の状況を注意深く観察しているので、このような状態が続けばターゲットになる危険性が高くなってしまいます。長期の留守をなるべく悟られないようにするためにも、郵便箱は中身が外から見えないデザインのものを選ぶなどの配慮も大事です。

まとめ

 

いかがでしょうか。泥棒はもちろん「捕まること」を恐れています。よって、人目に付くこと、目立つこと、周囲の注意をひいてしまうことを嫌います。この辺りを把握した上で防犯対策を計画していけば、なるべく侵入の標的から外れるようにしていくことは可能です。そもそも標的にならないことが大事ですが、万が一侵入の標的になったとしても、侵入に極力てこずらせる、時間をかけさせるように開口部廻りをどこまで対策していけるかがポイントになってきそうですね。

その他にも、日ごろからのご近所とのコミュニケーションも大事といわれます。コミュニティ単位で結びつきを強めながら防犯意識を高めることで、情報共有があったり、不審者や普段見かけない人がより目立ちやすくなり、泥棒にとって立ち入りにくい環境ができていることがより望ましいですね。

これから家づくりを始める方は下記の記事もお勧めですのでぜひご覧ください。家づくりの成功の秘訣は事前の準備が欠かせません↓↓

 

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