平屋の家でおしゃれな暮らしを!メリットとデメリットを総まとめ
個人的には平屋建て住宅の贅沢な敷地の使い方にうらやましさを感じています。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
一般的に住宅は2階建てのパターンが多いと思いますが、敷地条件などによっては時として平屋建てという選択肢が浮上することがあります。
しかし、平屋建てにするにも、様々なメリット・デメリットがあり、押さえておくべきポイントがたくさんあります。ご自身のライフスタイルにマッチすれば、平屋建ての魅力を存分に楽しむことができると思いますので、まずはその特徴を十分に把握したいですね。
メリット
階段が無くなる
まず、階段による上下方向の移動が無くなり、一つのフロアで生活が完結するというメリットは非常に大きいといえます。高齢の方にとっても安心ですし、あなたが今現在若くても、将来的な老後のことを考えると安心です。
年を取った後に階段を上る頻度が低下し、2階が物置同然のデッドスペースになることがよくありますが、平屋であれば末永く家のすべてのスペースを有効活用し続けやすいと言えます。
また、例えば普段の掃除を想像しても、掃除機をもって階段を上り下りすることを思い浮かべると、平屋の生活のしやすさに魅力を感じる人も多いです。大きな荷物を持ちながらの上り下りが無くなるのは、生活における大きなストレスや負担を排除できると言えます。
日常の動線だけでなく、万が一の時の避難動線を考えてもメリットといえるでしょう。すべての部屋が避難階にあるということになるので、火災のときに階段を下りてから避難を想像すると、平屋のほうが迅速な避難を可能にしやすいと言えるでしょう。
階による上下の分断が無くなり、水平移動だけで家が完結するので、家族間でのコミュニケーションも取りやすくなります。
構造的な安定性
2階建ての住宅に比べて、構造的にも安定しており、耐震性能・台風性能の面でも平屋のほうが安定性が高いとも言えます。2階の重量が無くなることで、屋根荷重さえ考慮すればよいので、比較的大きな空間を生み出しやすいです。2階建てに比べて構造壁も少なくしやすいので、大きな面積の窓を確保することもやりやすいです。また、2階を気にせずに天井を上げることも検討しやすいです。構造的な制約が低減され、設計の自由度が高まり、居心地の良い居住空間をつくりやすそうですね。明るく広々とした、開放感のある空間を手に入れやすいと言えます。
平屋建てのデザイン性
出典:「studiofour」より
2階建てに比べて建物の高さが必然的に抑えられ、家の外観プロポーションが横長になってきます。横長のプロポーションは水平性が強調され落ち着きのある見栄えにしやすいです。屋根の存在感も強くなり、黙っていてもファサードデザインがある程度「いい感じ」になりやすいです。1階と2階の窓位置がそろっているかなども気にしなくてよくなりますね。
外部との連続性
すべての部屋に対して外部との連続性を与えることできます。窓を掃出し窓にさえしておけば、どの部屋も庭に出られる構成にできます。これは2階の部屋だとバルコニーやテラスなどがないとできないことですよね。地上の癒しを取り入れた生活を創出しやすいですね。
メンテナンス
2階建てに比べて、メンテナンスがしやすいというメリットもあります。外壁や屋根の修繕や塗り替え、屋根の雪下ろし、害虫駆除など。2階の窓拭きも無くなるのは魅力的ですね。程度にもよりますが、本気を出せば自分である程度までできることも多いです。ただし、無理は禁物です。難易度が高そうな内容は素直に業者に依頼しましょう。。
その他、屋根面積が大きくなるのでソーラーパネルをより多く設置しやすいというメリットなどもあります。
デメリット
大きな敷地が必要になる
本来2階に設けていた部屋がすべて1階に下りてくるので、当然ある程度の敷地面積が必要になってきます。用途地域によっては建蔽率の縛りもより厳しくなってくるので、平屋の選択肢があるのであれば、土地選択の時点である程度の見極めが必要になってきます。
建築コストが割高になる可能性がある
2階建てに比べて工事費が高くなることが多いです。一番の要素は屋根の面積と基礎工事の面積が平屋になるとざっくり2倍になってくることでが挙げられます。また、広い敷地であることが多いので、外構工事も高くなる傾向があります。外構工事はどの範囲まで力を入れるか(コストをかけるか)を慎重に検討したいですね。
外壁は逆に若干減ったり、階段が不要になったりという要素はありますが、これらを差し引いてもコストアップ要素のほうが大きくなることが多いです。
間取りによっては居住性・利便性が低下する場合もある
平面が大きくなることによって、単純に四角いプランにしてしまうと、家の中央の部屋の採光・通風・眺望を得ることが難しくなりがちです。屋根面を突出させてハイサイドライトを設けたり、天窓を設けるなどの対応が考えられますが、止水的な弱点を屋根面に作ってしまうことは雨漏りのリスクが高まったり、コストアップ要因にもなるという点に注意が必要です。中庭を設ける、建屋形状を細長くしたり、凹凸をつけて、窓を確保していくという手法もありますが、もちろんこれらもコストアップ要因になります。ある程度コスト的な覚悟が必要になってきそうです。結局のところ、建屋を東西方向に細長くボリュームを設定して、南北に部屋を振り分けて中廊下を通すやり方に落ち着くことが多いですが、この中廊下が通風を阻害したり、薄暗い廊下になったりする要因になりやすいので注意が必要です。
上下の移動が無くなる代償とも言えますが、動線が必然的に長くなります。家が平面的に大きくなっていくので仕方ない部分ではあるのですが、そうした中でも極力廊下が短くなるようなプランを目指したいいものです。
プライバシーやセキュリティに配慮が必要
プライバシーの面から考えると、周囲からの視線を受けやすい点も注意しておきたいです。2階の部屋よりも1階の部屋のほうが、お隣さんからの視線や、周りの家の2階からの見下ろしの視線等を気にしなくてはいけません。外構に設ける塀や植栽など、これらに対する配慮がより多く必要になってきます。
また、家族間のコミュニケーションがとりやすいというメリットを上げましたが、その反面、家の中でのプライバシーも低下する可能性がありますので、部屋の配置計画には注意が必要です。
すべての部屋が1階になるということで、各部屋の開放性が高まる一方、その裏返しとして防犯的な面でのデメリットが挙げられます。侵入ポイントが増えることによって、防犯リスクが高まってしまうので、窓を防犯性の高い仕様にスペックアップするなどの検討が必要になってきます。
防犯対策については下記の記事をご参照いただけると幸いです↓↓
平屋の間取りと見積りを手に入れる
以上のように、平屋建ての住宅にはさまざまなメリットやデメリットがあります。あなたのライフスタイルと照らし合わせながら、メリットを存分に生かした暮らしができそうかどうか、デメリットをどこまで許容できそうか、あるいはデメリットをどれだけカバーした間取りを実現できるかが判断の分かれ目になってくると思います。
とはいうものの、よくある一般的な2階建ての間取りに比べて、平屋建ての間取りはなかなかイメージが湧きにくいかもしれません。例えば下記のタウンライフによる無料サービスを利用すれば、住宅展示場にわざわざ足を運ぶことなく平屋建て住宅の間取り・見積りの提案を、複数の住宅会社から無料で受けることができるので効率よく具体的なプランを検討することが可能です。
また、平屋建て住宅の場合はある程度の大きさの敷地が必要なので、土地の値段や立地も踏まえた慎重な土地探しが計画の初期段階から必要になってきます。上記のサービスは、間取りの提案と見積だけではなく、土地探しの相談にも無料で応じてくれるため、平屋建て住宅を検討されている方にとってはとても有効なサービスですね。
まとめ
以上、平屋での暮らしを選択肢として視野に入れる場合、上記のようにメリット・デメリットが多岐にわたるので、これらの特徴を十分に押さえた上でご自身のライフスタイルにマッチしているかどうかをまずは確認しましょう。
デメリットをどこまで許容できるか、あるいはどこまでコストをかけてデメリットをケアしていくかを検討することが重要になってきそうですね。