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ツーバイフォーとは?その特徴とメリット・デメリットの総まとめ

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「ツーバイフォー工法」って聞いたことのある方も多いのではと思いますが、みなさんはどのような工法なのかご存じでしょうか?

こんばんは。家の設計をしております建築士の「いえもん」です。

今回は家を建てる上での工法の一つである「ツーバイフォー工法」についてご説明していきたいと思います。これから家づくりをスタートする方にとっては、どのような工法で家を建てるのかを考えることになると思います。そして、木造住宅を建てる場合はこのツーバイフォー工法も選択肢の一つとして挙がってくると思いますが、そもそもどんな工法なのかわからないという方も多いはずです。

■ツーバイフォーって聞いたことがあるけどどんな工法?
■特徴やメリット・デメリットも知りたい
■ツーバイフォーにすると費用は変わってくるの?

上記のような疑問を持たれている方に向けて詳しく解説していきたいと思います。本記事をお読みいただければツーバイフォー工法がどのような工法なのかが理解できると思います。

木造住宅の工法には大きく分けて2つの種類がある 

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まず初めに押さえておきたい基本的な知識として、木造住宅には大きく分けて2つの種類の工法があるということを覚えてください。1つ目は古くから存在する「木造軸組工法」というもので、昔からある工法であることから「在来工法」とも呼ばれています。日本では昔からこの工法がずっと主流で今でもほとんどの戸建て住宅はこの木造軸組工法で作られています。「軸組」なのでその文字通り柱と梁で軸組を構成し、こうしてできたフレームを構造躯体とする工法です。

2つ目は、「木造枠組工法」と呼ばれる手法です。これがいわゆるツーバイフォー工法のことを指しています。先ほどの軸組工法が「フレーム」を構造躯体とするのに対して、枠組工法は「面」を構造躯体とします。

ツーバイ材などと呼ばれる2インチ×4インチの部材断面を持つ木材に構造用合板を打ち付けて構成される面材を組み立てて家を作っていく工法になります。パネルとパネルを組み合わせていってハコを作っていくようなイメージですね。この2インチ×4インチというところからツーバイフォー工法と呼ばれています。わかりやすくセンチ単位になおすと「5.08cm×10.16cm」という大きさの部材断面になります。

ツーバイフォー工法は、もともとは19世紀に北米で生み出された工法であり、日本には1970年代に初めて導入されたと言われています。

ツーバイフォー工法のメリット 

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では次にツーバイフォー工法のメリットについて見ていきましょう。

耐震性 

一般的にツーバイフォー工法の住宅は地震に対する強度が高いと言われています。フレームに構造用合板を打ち付けて家が作られているので、構造躯体の堅さが増して揺れにくいというメリットがあります。

気密性・断熱性・防音性 

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ツーバイ材に対して構造用合板を打ち付けるという作り方から隙間が生じにくいので、家の気密性がしっかりと確保されるというメリットがあります。これによって、家の中への外気の流入を最小限に抑えることができます。

また、気密性が向上することによっておのずと断熱性能も向上します。これにより、年間の空調費用も抑えることができるのでランニングコスト的にもメリットが大きいと言えるでしょう。

同様に、気密性の向上は防音性能の向上にもつながります。建物の隙間が少なく、構造用合板でしっかりと囲まれていることによって、外部からの音に対する防音性能についても一定の効果があると言われています。 

防火性

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ツーバイフォー工法の住宅は、防火性能が高いと言われています。パネルで壁がしっかりとスキマなく施工される・ツーバイ材がファイヤーストップ材として機能してくれることによって、火災時に火が全体に回り込むまでにかかる時間が遅延されるという仕組みになっています。

これによって、ツーバイフォーの住宅は「省令準耐火構造」を取得できるというメリットがあります。「省令準耐火構造」とは、木造住宅であっても、建築基準法上の準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造として、住宅金融支援機構の基準に適合する構造のことを指しており、火災保険の保険料が割安になります。一般的に木造住宅は火災のリスクが高いとみなされて保険料が割高になりますが、省令準耐火構造であれば木造住宅であっても、鉄骨造や鉄筋コンクリート構造の住宅と同等の保険料となります。

ただし、最近ではツーバイフォー工法ではなく軸組構造でも、省令準耐火構造を取得することができる住宅会社も増えてきていますので、家の工法を検討する際に住宅会社の担当者の方に問い合わせてみるといいでしょう。

ツーバイフォーは建築工事の費用を抑えることができる 

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一般的にツーバイフォー工法は建築費用を抑えることができると言われています。これには以下のような大きな理由があります。

先ほどご説明した多くの戸建て住宅で採用されている木造軸組工法は、職人さんの腕にある程度の熟練が要求されます。部材と部材をつなぐ金物の納まりなど、施工する上での難易度が高いということですね。

一方で、ツーバイフォー工法は軸組工法に比べて作り方がシンプルであることから、大工さんにそこまで高いスキルは要求されず、工期も短縮しやすいという利点があるのです。

このような違いからツーバイフォー工法は費用を抑えやすいという特徴があるんですね。特に最近では人出不足から工事をするにもなかなか職人さんが確保できないという状況が続いており、今後もこの傾向は続く、もしくはさらに悪化していくと言われています。このような状況から考えると、工法の容易さによる費用の違いは今後さらに大きくなっていく可能性もあると考えられます。費用を抑えることができるのは消費者にとってはうれしいことかもしれませんが、建築業界、社会全体の人出不足のことも考えるとどうにも喜びにくいものです。

ツーバイフォー工法のデメリット 

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続いて、ツーバイフォー工法のデメリットです。

構造条件による制約が大きい 

まず何より間取りの自由度や可変性の乏しさが、ツーバイフォー工法のデメリットとして挙げられます。ツーバイ材に打ち付けられた構造用合板は「面」として構造躯体としての機能を担う耐力壁として機能します。例えば間取りを検討する際にも、この耐力壁は容易に無くすことはできなかったりします。設けることができる開口の大きさにもいろいろと構造的な制約が出てくるので、大きな開口を設けることが意外と難しいということもあります。

例えばリビングを例に考えてみると、大きな空間を実現するということが難しいということはよくあります。大きな掃き出し窓で解放感を求めようとしても、設けることができる窓の大きさや位置に制約があって意図していた窓が計画できないということもあり得ます。

また、将来的なリフォームについても同様に制約が生じることもあります。2つの部屋を将来的に間仕切壁を壊して、一つの大きな部屋にして改装するという計画も、壁が耐力壁になっているとリフォームできないということもしばしばあります。

以上を踏まえると、軸組構造に比べてツーバイフォー工法は間取りの自由度、将来的な可変性には乏しいと言えます。大空間や開放的な窓、将来の間取り変更を見据えた計画を重視される場合はツーバイフォーは避けたほうがいいかもしれません。

カビやダニのリスクがあるf:id:Frappuccino:20191107122325p:plain

メリットとして前述したとおり、ツーバイフォー工法による住宅はスキマが少ないので、気密性に優れた家を作ることが可能です。しかし、これは裏を返して考えると、スキマなくがっちりと囲まれることによって通気性の確保が難しくなってしまうという懸念があります。断熱性も高いことによって家の内部と外部で温度差も大きくなってしまうので壁体内結露が生じやすく、高気密で通気性が確保されにくいので結露がなかなか解消されないままカビやダニの発生の原因になってしまうリスクも考えられます。

カビやダニの発生による衛生的な懸念もありますが、慢性的な結露は部材の腐食の原因にもありますので、家の寿命にも影響する可能性があり心配です。そもそもツーバイフォー工法自体が日本においては比較的新しい工法なので、耐久性がどれほどのものなのか、どれぐらいの寿命があるのかという実績がないことも気にかかる点ではあります。

これについては、お住いの地域の気候、空調の使い方、施工性、様々な諸条件によって発生の可能性は前後しますが、家の作り方の構造上、カビやダニが発生する環境が形成されやすいという点については、一定のリスクがあるということをおさえておいてください。

工事期間中の養生には注意しておきたい 

木造軸組工法の場合、工事の手順としては柱や梁などの構造躯体フレームが組み上がったら、すぐに屋根をかけて、そのあとに外壁や内部の床壁内装工事と進んでいきます。

しかし、ツーバイフォー工法の場合は下から順番に施工してい行く流れになりますので、1階床壁⇒2階床壁と進んでいき、これらが完了してやっと屋根をかける工事手順になります。屋根がかかるまでの間、養生等がもしなければ構造躯体となる床壁のパネルが雨にさらされることになります。

パネルに撥水材を塗ったり、養生シートをかけるなど、工事期間中の降雨対策・養生計画がきちんと施されるかどうかを事前に確認するのが良いでしょう。

デザイン的な制約もある

 部材にパネルを打ち付けることから生じるデザイン的な制約もあります。例えば柱や梁をあえて露出させて、木のぬくもりや肌触りを感じさせるようなデザインが、木造住宅ではよくあります。しかし、このような木造住宅ならではのデザインはツーバイフォーではなかなか実現しにくいでしょう。

ツーバイシックス工法もある 

f:id:Frappuccino:20191120005536j:plain最近ではツーバイフォー工法の他に、ツーバイシックス工法なるものも登場し徐々に増えつつあります。だいたい予想がつくとは思いますが、ツーバイフォー工法が2インチ×4インチであるのに対し、ツーバイシックス工法は部材断面が2インチ×6インチになります。

部材断面がツーバイフォーに比べて大きくなるので、耐震性がそれに伴って大きくなります。壁厚も大きくなるのでその分、断熱材も多めに入れることができ、断熱性能の向上も期待できます。

まとめ 

いかがだったでしょうか。今回は木造軸組工法と木造枠組工法の違いに触れながら、ツーバイフォー工法の特徴をご紹介させていただきました。家づくりをする上で、工法の特徴やそれぞれのメリット・デメリットを十分に理解した上で作り方を選択していくことが重要です。どの工法を選択するのが正解というわけではなく、実際に住まれるご自身の考え方、何を重要視するかによって、工法を選択していく必要があると思います。

この記事でご説明させていただいた内容を把握した上で、最も適した選択肢を検討していくようにしましょう。 

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