寝室の間取りを設計する上で配慮すべきポイント
寝室は一日の疲れた体を休めるためのとても大事な場所です。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
今回は、疲れた体をストレスなくしっかりと休めることができる寝室を実現するために必要となるポイントを以下にまとめていきます。
なお、ここでは主に夫婦で就寝する主寝室を想定してまとめていきます。
寝室の位置
まず家の中における寝室の配置ですが、特に音に配慮する必要があります。例えばトイレに隣接していたり、2階トイレの直下を寝室などにしてしまうと、排水音による睡眠の妨げが生じる恐れがあります。
縦方向においてはトイレとの重なりを避ける、トイレと隣接してしまう場合はウォークインクローゼットなどの収納でワンクッションおく、などの配慮がほしいですね。
同様に、主寝室と子供部屋の隣接も基本的にはプライバシー上避けるべきで、どうしても隣接してしまう場合はやはり収納を間に介するのが望ましいです。納戸やウォークインクローゼットが挟まれていれば理想的ですが、スペース的に厳しいようであればクローゼットを配置するだけでも効果的です。
寝室の大きさ
次に、寝室の大きさの目安です。
4.5畳:主寝室としてはかなり厳しいです。ダブルベッドを壁にくっつけて配置してほぼ空間を占領してしまい、その他の家具はおそらく置くことができず、収納もかなり計画しづらくなりそうです。仮に収納を置くことができたとしても、クローゼットの扉が開かない、ものの出し入れがしづらい、などといった不便が生じる可能性が高いです。寝室出入口の扉もおそらくベッドに当たってしまうので、引き戸にする必要があります。
6.0畳:ベッド周囲に何とか通路としての幅を確保することができるので、主寝室として最小限の規模といえます。都心部などの狭小地においては、この規模感の主寝室が標準的になります。しかし、それでもまだベッド以外の家具を置くには制約が多いでしょう。
8.0畳:6.0畳に比べてかなり余裕が生まれてくるので、例えばちょっとした本棚、テレビやドレッサーなどを置くことができ、就寝以外のプラスαの機能を備えることができます。寝る前のくつろぎタイム、スキンケアなども可能になってきます。
10.0畳:さらにスペースにゆとりが生まれてくるので、部屋の一角を書斎にしたり、バーカウンターを設けたりすることもでき、通路幅も十分に確保することができます。
また、まれに年配のご夫婦や、いびき・歯ぎしりなどの理由で夫婦で別々の寝室にするというパターンもあります。大人ひとりが寝る必要最小限の部屋を2つ並べるという選択肢ももしかしたらあり得るかもしれませんね。
夫婦の寝室を別室にするという選択肢については下記の記事が参考になります。
寝室の収納
寝室にはベッドを置くだけではなく、衣類を収納するための設えも必要ですよね。タンスやクローゼットといった、今現在お手持ちの家具を置こうとする方が結構いらっしゃいますが、基本的には壁面収納、もしスペースに余裕があるようでしたらウォークインクローゼットを設けることをおすすめしています。見た目的にもすっきりするというメリットはありますが、やはりそれ以上に、置き家具は地震時の転倒が心配です。家具転倒による負傷だけではなく、倒れた家具が部屋の出入り口を塞いでしまい避難や救助の妨げになるというのはやはり怖いですね。
部屋に収納家具を置くという考え方よりも、家に一体化して収納を作ってしまう考え方のほうが最近では主流になってきており、安全面でも望ましいと考えています。
寝室の窓
寝室の窓について考えるときに重要なポイントは、安眠できるかどうかです。安眠を妨げる要素には、光や音・暑さや寒さによって生じる不快感が想定されます。
例えばベッドの位置と大きな窓がすぐ近くにあると冬場は外気の寒さを感じて眠れないかもしれません。東面の窓からは朝日が差し込んで爽やかな目覚めになるかもしれませんが、窓と近いと夏場は暑苦しく感じたり、ゆっくり眠りたのに早朝から目が覚めてしまうので嫌がる方もいます。ベッドと窓の位置関係に注意するとともに、必要に応じて窓周りに遮光カーテンやシャッターの設置を検討してみましょう。
幹線道路沿いなど、外からの騒音が想定される場合は防音性能の高いサッシを選定しておきましょう。窓ガラスの仕様については、ガラスが二重になっている複層ガラスがおすすめです。防音性能が向上するだけではなく、断熱性能も向上するので、室内の居住性を良くすることができますし、冬場の結露を防ぐこともできます。
出典:「RTA studio」HPより
また、寝室がもし角部屋であればぜひ2面に窓を設けておきましょう。お部屋の対角に設けた窓は、それぞれを開け放てば風通しを確保することができます。特にドアのような形状の「縦辷出し窓」は開いた窓がウィンドキャッチャーとして機能してくれるので、しっかりと風を室内に取り込んでくれて居住性を大きく向上してくれます。縦に細長いスリット形状の縦辷出し窓を並べれば外観のアクセントにもなりますね。
寝室の照明
ゆったりとした安眠を確保するためにも、照明の色はオレンジ色っぽい電球色~温白色がよいでしょう。あまり光が白すぎると目が覚めてしまって安眠を阻害するかもしれません。眠る前の落ち着きある時間を過ごすには優しくリラックスできる光の中で過ごしたいですね。
また、天井面に設けるダウンライトの位置はベッドのレイアウトと合わせて検討するようにしましょう。ベッドに仰向けになった時に頭の真上に光が来てしまうと眩しいですね。寝転んだときに足元側にダウンライトがくるような照明レイアウトが望ましいでしょう。
また、天井からの光以外にも、フットライト(足元灯)やブラケット照明、スタンド照明などを用いるという選択肢もあります。これらの照明を選ぶことによって、部屋全体の光の重心をぐっと下げることができます。これによって落ち着き感が増すとともに天井からの光が無くなることで、お部屋全体の必要最小限の明るさを確保しながらも寝転んでいるので光源が眩しくないというメリットがあります。意匠的にもホテルライクな雰囲気を演出しやすくておしゃれな寝室を目指す方にはおすすめです。
ベッドの配置
ベッドのレイアウトについては、周囲通路幅を600mmは確保するようにして、室内での移動時のストレスを感じないようにしておきたいですね。収納の扉を開けたときに扉がベッドにあたらないかどうかについても要チェックです。
また、できれば枕の位置が窓の付近にならないようにしたいですね。外部から伝わってくる冷気が不快感を与えることがあります。エアコンからの風がダイレクトに枕付近を吹き付けてしまうような位置関係も望ましくありません。風向きを上にしていたとしても、特に冷気の場合は吹き出したあと下に降りてくるので、寒く感じることが多いです。
ベッドの配置と合わせてエアコンの配置と向きにも注意しておきたいですね。
その他、寝室に癒しを取り入れる手法
出典:「Hyla Architects」HPより
インテリアの色彩として、緑色をうまく取り入れることによって、色による癒し効果が期待できます。緑には「安心、安定、調和、リラックス、自然」をイメージさせる特性があり、疲れた目をリフレッシュさせるためにも効果的です。日中のデスクワークが多く、パソコンと向き合う時間が多い仕事をされている方にとっては最適です。
上図の写真の事例のように植物が見える風景を取り入れることができれば最も理想的ですが、難しい場合は例えば緑色の壁紙をアクセントウォールとして取り入れるのも良いでしょう。
ただし、室内に観葉植物を置きたい場合は壁と色が同化してしまうので、トーンを抑えた緑にするか、緑の壁と植物は離してレイアウトするなどの配慮が必要になります。
さらに、色だけではなく、壁材の性能面でも工夫することができます。最近ではミネラル鉱物を含んでいてマイナスイオンを発生させる壁紙などもあるので癒し効果にこだわりのある方は検討の余地があるかもしれません。ただし、効果の感じ方には個人差があるので注意が必要です。
また、寝室は長時間人が滞在する部屋になるので、調湿性や防臭性のある仕上げ材料も適しています。そのような機能を備えた壁紙を選択する、あるいは、無垢のフローリングや、漆喰・珪藻土などの塗り壁も調湿作用があり室内環境を快適にするうえで効果的です。
角部屋として計画することが可能であれば、2面に窓を設けてしっかりと通風・換気が確保できるようにして衛生的で快適な空間とするべきです。
寝室に鏡はNGとよく言われます。光の反射や映り込みが気になってしまうと日々のストレスが積み重なる恐れがあります。ちなみにどこまで気にするかは人それぞれですが、風水的にもタブーとされます。
以上、快適な寝室を作るためのポイントをまとめてみました。日々の疲れをしっかり癒すためにもぜひ参考にしてみてください。
その他にも寝室を魅力的にするアイデアを下記の記事でも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください↓↓
寝室も含めて間取りには配慮するべき様々な要素があって、検討し始めるととてもエネルギーを使ってしまいます。ご自身でどんな間取りがいいかを考えることももちろん重要ですが、どこかのタイミングで専門の方に設計をお願いする必要があります。
しかし、いきなり住宅会社とやり取りをしたり、住宅展示場にいくと、十分な予備知識がないまま家づくりがスタートしてしまうというようなこともあります。
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