壁面収納のメリット・デメリットとデザインアイデア13選をご紹介
出典:「Architrend Architecture」HPより
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
今回は壁面収納のメリットとデメリット、そして使い方やデザインのアイデアをご紹介したいと思います。壁面を利用して収納量を確保することができると便利ですが、注意点も合わせて押さえておきましょう。
また、せっかく壁面収納を設けるのであれば「見せる収納」としてデザイン的にもこだわりたいと考える方も多いと思います。魅力的な壁面収納の事例も合わせてご紹介しますので、ぜひご覧ください。
壁面収納のメリット
収納量が確保しやすい
壁一面を床から天井まで収納として利用することができるのは、モノが多い方にとっては非常に魅力的なメリットと言えるでしょう。あらゆるもので散らかりやすいリビング周りは、壁面収納があることによって片付きやすくなりすっきりした空間を実現しやすくなります。
統一感を取りやすい
収納家具を複数置くと、それぞれの色柄やデザインがバラバラになって空間の統一感が失われやすいです。壁面収納を1か所にまとめて設けることによってそのような心配もなくなり、見た目的にも統一感のある空間を演出することができます。
見せる収納として演出しやすい
単なる収納としてだけではなく、お気に入りのインテリア用品や観葉植物、アートやオブジェなどを合わせてレイアウトすることによって、見た目的にも美しく演出することができます。例えば壁面収納がリビングの主役という考え方もできそうですね。
オーダーメイドであれば形状の自由度が高い
壁面収納はオーダーメイドで作ることが多いので、形はサイズをある程度自由に設定することができるという点は魅力的です。その空間に応じたオリジナルの収納として自由にデザインすることができます。
下記のようなオーダーメイドの収納もお勧めです↓↓
壁面収納のデメリット
圧迫感が生じやすい
壁一面、床から天井まで収納とすることによって空間に圧迫感が生じやすいと言えます。背の高いものはどうしても視覚的にも不安な感覚を与える要素となりますので、壁面収納を設ける場合はある程度の部屋の広さが必要ということが前提になってきます。
部屋の広さによっては、範囲をある程度絞ったり、軽やかなデザインにしたりといった配慮が必要になるでしょう。収納の奥行きをなるべく抑えたり、色は明るめのものを選択するなどという手法も、圧迫感を抑制する上では効果的です。
高い位置の収納は出し入れしにくい
高さ方向に有効に収納量を確保できる一方で、どうしても上の方にあるものには手が届きにくく、踏み台に乗って出し入れすることが前提になってきます。また、棚板があるということはホコリだまりにもなるということなので、定期的な掃除が必要になりますが、やはり高い位置の掃除は手間がかかってしまいます。当然のことではあるものの、意外と見落としがちな点なので注意してください。
少なくとも高い位置に置くものは、出し入れの頻度が低いものや、飾り物程度にしておく方が使い勝手上は無難です。
可変性が無い
壁面収納は壁の一部として作り付けにすることが前提となってくるので、将来的に撤去したり、配置を変更したりといったことが難しいです。壁面収納は一度作ってしまうと変更はできないということを念頭に、慎重に計画しましょう。
地震のときの落下が心配
壁面収納は壁の一部として固定されているので、地震で揺れたときに収納本体が倒れてくるということは起こりにくいですが、収納されているモノは落ちてくる恐れがあります。高い位置からモノが落下する危険性があるという点については注意が必要です。特に寝室などではベッドとの位置関係に十分注意して、睡眠中に物が落下してくるようなことが無いようにしましょう。
日焼けに注意
リビングの壁面収納に本や雑誌といった書籍を収納するということが多いですが、日当たりによって焼けてしまうことがあるので注意が必要です。方角や窓との位置関係を確認するとともに、壁面収納のどの部分に書籍を片付ければ、日焼けによるダメージが生じにくいかを考えておきましょう。本をなおす部分は扉付きにするというのもありですね。
費用が高くなりがち
オーダーメイドとなることから、既製品の収納家具に比べて費用は高くなりがちです。また、納期についてもものによっては1か月以上かかることもあるので注意が必要です。
壁面収納のデザインアイデア
壁面収納のメリットとデメリットを理解した上で、次はどのような壁面収納のデザインがあるのか、実例を交えてアイデアをご紹介していきたいと思います。
棚板の割り付けで遊ぶ壁面収納
出典:「Hyla Architects」HPより
出典:「SAOTA」HPより
壁面収納の棚板の割り付けを少し工夫するだけでも雰囲気はかなり変わってきます。同じサイズのマス目が格子状に並んだような画一的な棚板の割り付けではなく、板の間隔に少し変化を与えてあげたり、様々なサイズのマス目をランダムに割り付けたような壁面収納とすることによって、見た目的にもおもしろいディスプレイが可能になります。
オブジェを飾る部分はライトアップでしっかりと照らしてあげることで、見せる収納を見事に表現することができますね。
色で遊ぶ壁面収納
出典:「247Arquitetura」HPより
https://247arquitetura.com.br/
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
明るく鮮やかな色を取り入れてみるのも個性的な壁面収納を演出する上で面白い手法ですね。 思い切って黄色やオレンジといったビビッドなカラーを使ってみるのも空間のアクセントとして有効かもしれません。
壁面収納まるごと鮮やかな色にするのにためらいを感じるようであれば、2枚目の事例のように部分的にアクセントカラーを使っていくのも良いでしょう。
照明を取り入れた壁面収納
出典:「weberarquitectos」HPより
出典:「Openbox Architects」HPより
棚を照明で照らしてあげることによって壁面収納が部屋全体の雰囲気をがらっと変えてくれます。
2枚目の事例は本をモチーフにした白いオブジェがランダムに散らばりながら間接照明としても機能していて、おもしろい効果を生み出しています。
ニッチ形状の壁面収納
出典:「WENINK/HOLTKAMP ARCHITECTEN」HPより
出典:「Architrend Architecture」HPより
壁全体に収納が並ぶことによる圧迫感が心配な場合はニッチを設けて収納するという手法も有効です。より自由な大きさ・配置を壁面にレイアウトしやすく、照明を仕込むなどといった細工もやりやすいので、デザインの幅も広がりそうです。ただし、収納の奥行きを大きくしすぎるとその分面積も余分に必要になってしまうので注意しましょう。
窓と一体的にデザインされた壁面収納
出典:「LLOSA CORTEGANA ARQUITECTOS」HPより
出典:「Dick Clark Associates」HPより
窓と一体的に壁面収納を構成することによって、圧迫感を低減することができます。書斎などのような決して広くない空間で壁面収納を作りたい場合などに有効です。大きな窓と組み合わされた壁面収納で解放感をもたらしたり、作業スペースを一体化させてより機能性の高い壁面収納が実現することも可能です。
ファミリーライブラリとして
出典:「247Arquitetura」HPより
リビングにある壁面収納はファミリーライブラリとして利用しやすいです。家族間での知識や情報共有、お互いの趣味に関心を持つきっかけ作りにもなります。家族同士のより活発なコミュニケーションを誘発できますね。
便利なリビング収納として
出典:「STANTON WILLIAMS」HPより
リビングはとにかく様々な「モノ」が集中する場所であり、家の中で最も散らかりやすい空間であると言えます。生活の中心であるリビングが常に散らかっていると非常に残念ですよね。
壁面収納が扉で隠すことができれば、そういった様々なモノをキレイに収納することができます。リビングにあるので、使いたいときにすぐに出し入れすることもできますし、急な来客時に素早く片付けることができるのも大きなメリットですね。
廊下や階段廻りにも壁面収納
出典:「RAULINO SILVA ARQUITECTO」HPより
部屋の外、例えば廊下や階段廻り取った場所でも壁面収納は活躍することができます。階段沿いの壁がこちらのように棚になっていると面白いですね。収納や飾りを眺めながら階段を上り下りしたり、ちょっとした椅子やソファを廊下においてあげれば、棚から本を手に取って読書することができる場所に変わります。単なる通過動線がより豊かなアクティビティを生み出す魅力的な空間に変わっていきそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は壁面収納のメリット・デメリットと、デザインや使い方のアイデアをご紹介させていただきました。圧迫感や使い勝手などの注意点はいくつかあるものの、収納量の確保やデザイン的な演出など、魅力も多い壁面収納。生活空間の質を向上させる上で、ポテンシャルの高い手法であると思いますので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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