タンク式VSタンクレス、トイレはどちらを選ぶべき?
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
トイレの種類で「タンク式」と「タンクレス」がありますが、それぞれの特徴や違いはご存じでしょうか。どのようなトイレを選択するかによって、その見た目はもちろん使い勝手やお値段もかなり変わってきますので、それぞれの特徴はしっかりと押さえておきたいところです。
今回はこれらのトイレの違いや特徴について、メリット・デメリットを交えながらじっくりとご説明していきたいと思います。
- タンク式トイレとタンクレストイレの違い
- 形状・見た目・デザインの違いによるメリット・デメリット
- 手洗いの違い
- 流し方の違いによるメリット・デメリット
- 価格の違い
- タンク式トイレとタンクレストイレの使い分け
- まとめ
タンク式トイレとタンクレストイレの違い
↑タンクレストイレ
↑タンク式トイレ
出典:「TOTO」HPより
タンク式トイレとタンクレストイレの違いは、それぞれの名前からもおおよそイメージしやすいかともいますが、「タンクの有無」ですね。タンクのついているタンク式トイレは昔からずっと主流で、多くの方が見慣れていると思います。レバーを回すとタンクに溜まっている水が重力で流れてくれる仕組みですね。
一方でタンクがなく、見た目がすっきりしたタンクレストイレがここ20年程でどんどん増えてきています。
形状・見た目・デザインの違いによるメリット・デメリット
出典:「SOLOMON TROUP」HPより
タンク式トイレとタンクレストイレでは見比べたときに後者の方がすっきりと見えて、デザイン的にも優れていることが多いです。タンクが無いことによって、視覚的な広さ感も、タンクレスのほうが広々と見えます。実際に、タンクが無いことによって便器の奥行き寸法も10cm程度小さくなるため、同じ大きさの空間でも便器手前の有効奥行き寸法も広くなります。空間そのものを広く使うことができ、床の掃除もしやすくなります。
また、便器自体が凹凸が少ないため、タンクレストイレのほうが拭き掃除も手軽にしやすいといえます。どうしてもタンクレストイレは凹凸が多いため、少しお手入れに手間がかかってしまいそうですね。
そして、タンクレストイレはスタイリッシュな形で色も様々なバリエーションから選べることが多く、デザイン面ではタンクレストイレのほうが優れているのもうれしいポイントですね。
手洗いの違い
タンク式トイレは一般的にはタンク上部に水栓がついていて、そこで手を洗うことができます。便器だけで手を洗う行為も完結できるという点はメリットと言えるでしょう。しかし手を洗った際、手洗い廻り周辺の壁に水が飛び散って濡れてしまうという点はデメリットですね。また、小さいお子様やお年寄りの方にとっては、手洗い部分が高さ的に使いづらく、手が洗えないというデメリットもあります。これらのようなデメリットに配慮して、最近では水撥ねがしにくいボウル形状で高さも調整された商品も登場してきています。下記のようなタイプです。
出典:「TOTO」HPより
一方で、タンクレストイレは便器に手洗器が付いていないため、別途で手洗いが必要になり、その分余計にコストがかかってしまいます。また、トイレ内に手洗いカウンターが確保できれば、トイレの中で手を洗う行為まで完結できますが、トイレの外に手洗器を設ける場合は、手を洗う前にドアハンドルを触ることになるので、衛生面を特に気にされる方にとっては敬遠されることもあります。
流し方の違いによるメリット・デメリット
タンク式トイレは、タンクに貯められたお水を重力を利用して流します。一方でタンクレストイレは電気を利用して水を流します。よって、停電時のことを考えるとタンク式トイレは水を流すことができますが、タンクレストイレは水を流すことができなくなります。
では、断水の時はどうでしょうか。防止対策としてお風呂の残り湯を次の日まで流さずに残しておくという方もいらっしゃるかと思います。タンク式トイレであれば、断水時でもこの残り湯の水をバケツでくんできて、トイレのタンクに貯めるという手法が可能です。一方、タンクレストイレの場合は直接便器の中にバケツの水を流すことになるので、飛び散り等注意が必要になります。
したがって、緊急時の使い勝手としてはタンクレストイレに比べてタンク式トイレのほうが有利と言えるでしょう。しかし、最近ではこのようなタンクレストイレの緊急時の使い勝手が改善された製品も普及してきています。水を貯めるタンクを備えながらも見た目がタンクレス風になっていて、停電時は手動レバーを操作して乾電池の電気を利用して水を流すことができるというようなタイプです。便器の仕様を選択する際はぜひ防災面の特徴もしっかり確認しておくようにしましょう。
価格の違い
タンクレストイレは見た目もオシャレで色やデザインの選択の幅も広いことから、やはりコストも上がってきます。メーカーや製品にもよりますが一般的に10万円前後は値段的に差が出てくるといった感じです。よって、お値段的にはタンク式トイレのほうがお手頃価格と言えそうです。見た目、機能、コストを踏まえてじっくりどのトイレにするか検討するようにしましょう。
タンク式トイレとタンクレストイレの使い分け
以上を踏まえて、タンク式トイレとタンクレストイレのどちらを選ぶべきか、どのように使い分けるべきかについて考えてみましょう。戸建住宅の場合、最近では1階と2階の両方にひとつずつ、つまり合計2か所にトイレを設けることが多いです。
そして、2か所にトイレを設ける際に、タンク式トイレとタンクレストイレをひとつずつ設置するというパターンが多いです。来客のときに使用してもらう1階のトイレを見た目にこだわってタンクレスとし、2階のトイレは基本的に家族しか使わないので、そこまで見た目にこだわる必要がなく、費用も抑えてタンク式トイレにしておくという考え方です。
逆に、来客が少ないとか、特にトイレの見た目や形状に強いこだわりが無いということであれば、1階も2階も共にタンク式トイレにしておいてもいいかもしれません。その分費用も浮いてきますね。
各階ともにタンクレストイレにするという選択肢ももちろん有りですが、非常時のことを考えると少なくとも1か所はタンク式トイレにしておくのが安心かもしれません。前述の通り、タンク式トイレは電気を使用しないので停電時でも使用することができます。断水のときも、タンクに溜まっている1回分は流すことができますし、お風呂の浴槽に残り湯をためておけばバケツで水をタンクに注ぎ、通常通り流すことができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はタンク式トイレとタンクレストイレについて、それぞれの特徴や違い、メリット・デメリットについてご紹介させていただきました。見た目やデザインへのこだわりだけではなく、使い方や緊急時の対応なども含めて、トイレのスペックを選択するようにしましょう。
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