家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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吹抜けがある家のメリット・デメリットと魅力的なデザイン事例8選

 

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 出典:「ZUN ARCHITECTURE&DESIGN」HPより

    https://zun-archi.ru/

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

開放的な吹抜けのある空間のある家づくりに関心のある方は多くいらっしゃると思います。例えばリビングに吹抜けがあると、天井が高くなり、2階のお部屋ともつながりが生まれ、開放感のある空間が生まれます。

吹抜けはとても魅力的ですが、知っておくべきメリットとデメリットもいくつかあります。今回は吹抜けという手法の知っておくべき特徴をまとめつつ、魅力的なデザイン事例も合わせてご紹介していきたいと思います。

■吹抜けのある家づくりを検討している
■吹抜けのある開放的な生活空間に憧れている
■吹抜けのメリット・デメリット・デザイン事例が気になる

上記のような方はぜひご覧いただけると幸いです。

まずは吹抜け空間のメリットとデメリットから見ていきましょう。

吹抜けのメリットf:id:Frappuccino:20191107121755j:plain

まずは吹抜けのメリットからご説明していきたいと思います。

吹抜けは開放的な空間を生み出すのに効果的

吹抜けにすると天井高さが高くなることによって、視線が遠くまで抜けるので空間に開放感が生まれます。特に都心部の狭小な敷地の場合、平面的に十分な広さが確保できず部屋が必然的に狭くなってしまう場合などに有効です。物理的に望みどおりの部屋の広さを実現することができなくても、吹き抜けにすることによって視覚的な広さ感を獲得することが可能です。 

また、吹き抜けにすることによって空間が必然的にオシャレでカッコよく仕上がるのも魅力的な利点ですね。

吹抜けによる居住性の向上(採光・換気)

吹抜けにすることによって十分な採光と換気を確保して、空間の居住性を向上させることが可能です。吹き抜け部分にハイサイドライト(高窓)を設けることが可能です。都心部などでお隣の建物が近接してしまう場合、窓の高さを調整して光を取り入れられる場合は有効ですね。また、高い位置の窓と低い位置の窓を設けることができれば高低差を利用して効率的な換気を確保することができます。

このように、部屋の隅々にまで光を届ける、風通しの良い部屋を作るといった点で、吹抜けは有効な手法と言えます。 

吹抜けによって家全体のつながり感が増す

吹抜けによって1階と2階に空間的なつながりが生まれるのも大きなメリットの一つです。家のどこにいてもお互いの気配を感じやすく、リビングからでも2階へ声が届いたり、家族間のコミュニケーションをより豊かにすることができます。

 吹抜けに面してちょっとスタディコーナーを設けるといったような使い方もできます。また、吹抜けはリビング階段との相性もよく、家族どうしのつながりを大切にする上で有効です。 リビング階段に関しては下記の記事も合わせてご参照ください↓↓ 

www.my-home-dream.com

吹抜けのデメリット

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続いて、吹き抜けのデメリットについてまとめていきたいと思います。

2階の部屋面積にしわ寄せがくる 

吹抜けを作るということは2階の床面積が減るということになります。本来床を張ることができるはずの範囲が吹抜けになっているので当然のことですよね。これによって、2階の部屋の広さにしわ寄せが生じてしまうという点は注意しておきましょう。

逆に吹抜けが無ければ、各寝室を少しずつ大きくすることができます。どちらが優先かについてはしっかり考慮すべきですね。そもそも吹抜けを作ることで家自体も大きくなるので費用にも影響してくるという点にも注意が必要です。 

音・ニオイ・プライバシーの問題

吹抜けのある家は、つながりが生まれやすいというメリットがありました。しかし、このメリットの裏返しで、音やニオイが家全体に広がりやすいというデメリットが生じてきます。

1階のリビングで料理すると2階にニオイが伝わってしまう、夜遅くに1階リビングでテレビを見ていると、2階の寝室に音が伝わってしまう、といったようなシーンが想像できます。

また、家のどこにいても家族のお互いの気配を感じやすいというメリットの裏返しとしては、各個人のプライバシー性は低下しやすいです。家全体のつながりという点にそこまでメリットを感じておらず、個人の時間を重視するような場合、吹抜けは不向きかもしれません。

吹抜けのメンテナンスには注意が必要 

吹抜け部分は天井が高くなるので手が届きづらくなり、メンテナンスがしづらくなるという点には特に注意が必要です。例えば高い位置に設けられた窓は拭き掃除が簡単にはできなくなります。どうしても手が届かない部分の窓の清掃が必要になった場合には、脚立や足場を組む必要が生じるので高所作業で危険、場合によっては業者依頼が必要となります。照明の交換が必要になった場合についても同様ですね。

このようにメンテナンスに手間を要したり、維持費が必要になるということも注意が必要です。

空調効率の低下

 

これについても、家全体のつながりによる注意点と言えるでしょう。空間を吹き抜けにすることによって、部屋の容積が大きくなりますよね。これによって部屋全体の空気を温める、あるいは冷やすのによりエネルギーを消費することになります。最近の住宅は断熱性能が向上してきており、エアコンの省エネ性能もかなり改善されてきているので、昔に比べるとダメージは少なくなってきています。しかしながら、厳密にはやはり光熱費に影響はあるという点や、エアコンの効きが通常よりはちょっと時間がかかるという点には留意が必要でしょう。

北側の吹抜けで高窓は結露やカビが生じやすい

吹抜けを北側に計画した場合、高窓には結露が生じやすくなってしまうという点には注意が必要です。北側の窓には太陽の光が当たらないので南側に比べて冷たくなりやすいです。一方、室内では温かい空気がどんどん部屋の上部に流れていきます。この時、もし窓が高い位置にあると、室内外での温度差が大きくなり結露が生じやすくなってしまいます。さらに、高い位置の窓は手が届きにくく、なかなか結露を拭き取ることもできないので、カビの原因になってしまうのです。

吹抜けは寒くなりやすい? 

 

 

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吹抜けの空間は寒くなりやすいのではないかとよく心配されます。前述の通り、厳密に言えば多少エアコンの効きに時間が要するなどの懸念はあります。しかし、昨今の家の断熱性の向上、エアコンの性能の向上を踏まえるとそこまで致命的なものではありません。どうしても心配な場合は床暖房の採用が効果的です。

玄関の吹抜けってどう?

玄関に吹抜けを要望されることもありますが、個人的にはあまりおすすめできないと考えています。確かに家に入った時のエントランスが印象的になるので、出かけるとき、帰ってきたとき、来客時の気分は良くなります。しかし、それらは一日の中でほんのわずかな時間です。吹き抜けを作るということは、面積と費用を費やすことになるので、どうせなら長い時間を過ごすリビングに吹抜けを作った方が費用対効果としては望ましいと思います。

吹抜けの魅力的なデザイン事例

ここからは吹抜けが魅力的なデザイン事例をご紹介していきます。吹き抜けをご検討の方はぜひ参考にしてみてください。

吹抜け空間+ペンダント照明 

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 出典:「weberarquitectos」HPより

   http://weberarquitectos.com/

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 出典:「simoncouchmanarchitects」HPより   

   http://simoncouchman.com/

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 出典:「BLAZE MAKOID ARCHITECTURE」HPより   

    http://blazemakoid-architecture.com/ 

天井高が高くなる吹き抜け空間は特にペンダント照明との相性が良く、印象的な空間を演出することができます。 特に階段と絡めた吹抜けでペンダント照明が採用されるパターンが多いです。

ただし、地震の時の揺れや、メンテナンス性には注意が必要です。  

吹抜け+らせん階段

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出典:「BERNARDES ARQUITECTURA」HPより

    http://www.bernardesarq.com.br/

明るく開放的なリビング階段のある吹き抜けの事例です。らせん階段とそれを囲む木調ルーバーが美しく、魅力的な吹き抜け空間が演出されています。天井にも木目調の素材が採用されており、ナチュラルなテイストが空間の開放感をよりいっそう引き立てています。

吹抜けからの自然光をしっかり取り入れる

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出典:「studiofour」HPより

    http://www.studiofour.net.au/

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出典:「BLOCK architects」HPより

    http://www.blockarchitects.com.vn/default.aspx

自然光をしっかりと取り入れることができる吹き抜けの魅力が生かされた事例です。ハイサイドライトあるいは前面ガラスからの光が空間を明るく開放的に引き立てています。照明や家具、オブジェやアクセントウォールへのこだわりも感じられる魅力的な吹き抜け空間となっています。  

素材感豊かな吹き抜け空間

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出典:「WALKER WORKSHOP」HPより

    https://www.walkerworkshop.com/

リビング階段に絡めた吹き抜け空間のデザイン事例です。ラスティックな木調、ダークグレーのタイル、透明感のある手すりのガラスなどといった魅力的な素材が空間を構成しています。 

吹抜け空間の植栽が美しい空間

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出典:「STUDIO AG」HPより

    https://www.studioar.arq.br/

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 出典:「BLOCK architects」HPより

    http://www.blockarchitects.com.vn/default.aspx 

吹き抜けの中に植栽がレイアウトされている興味深い事例です。吹き抜けと植栽の相性は非常に良く、空間をより開放的にしてくれます。1階及び2階からの植栽の植栽に対する視線を共有するすることから、上下階の空間のつながりもよりいっそう強くなります。 

以上が吹抜けのある住宅のデザイン事例です。お気に入りのデザインアイデアは見つかりましたでしょうか。吹き抜けのある家は特にデザインの幅も広く、様々な魅力的な設計提案を受けることが可能です。ぜひ吹抜けのある魅力的な空間をお考えでしたら、複数の住宅会社から吹き抜けのある間取り提案を受けてみるのも有効ですね。下記のようなサービスから無料で間取り提案をお願いすることができるのでぜひ活用してみてください。

→「タウンライフ家づくり」で吹抜けのある間取り提案を依頼してみる 

→「持ち家計画」で吹抜けのある間取り提案を依頼してみる

また、これから家づくりを始められる方は下記の記事も合わせてお読みいただけると参考になると思います。家づくりの成功の秘訣は事前の下準備にあります。今の内から理想の家を手に入れるために備えておきましょう。  

www.my-home-dream.com 

www.my-home-dream.com

まとめ  

いかがだったでしょうか。今回は吹抜けのある家について、メリット・デメリットとデザイン事例をご紹介させていただきました。吹き抜けのある家づくりをご検討の方は、その特徴を押さえた上で魅力的な空間を実現してくださいね。