家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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植栽の影が空間を何倍も魅力的にするという話

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こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

今回は植栽の陰影が空間の魅力を大きく高めてくれるということに関して考えていきたいと思います。植物の緑そのものはもちん魅力的で素敵なものですが、今回はあえて「影」の方に着目してみました。 

植栽の影が持つ魅力をじっくり考えていきましょう。

植栽の影の魅力 

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 出典:「studiofour」HPより

     http://www.studiofour.net.au/ 

日常空間の中に存在するすべてのものには影が生じます。その中でも、植物の枝葉に光が当たって生まれる影は、独特のシルエットが魅力的です。風によって葉が揺れることで影にも動きが生じ、見る者に「変化」や「時間軸」を感じさせるとともに、空間に「揺らぎ」を与えることができます。

たった1本でも庭に木があるとそこにはその木の影が生まれます。緑がその庭とあなたの生活に彩りを添えてくれると共に、影の揺らぎが心地よい時間を生み出してくれます。

また、例えばあなたの敷地に近接してお隣さんの庭や道路側などに大きな樹木がある場合は、それらの木の影をうまく取り入れることができるかどうかも考えてみましょう。

日本庭園には、周囲の景色を背景として取り入れる「借景」という考え方が昔からあります。景色そのものだけではなく、魅力的な植栽の影も可能であればぜひあなたの居住空間に取り込むことができればより魅力的な住まいが生まれることでしょう。

なので、敷地を視察される際は、あなたの敷地の中に「魅力的な影」が無いかという視点でぜひじっくり観察してみてください。

それだけでアクセントウォールなってくれる 

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  出典:「studiofour」HPより

     http://www.studiofour.net.au/ 

 

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出典:「247arquitetura」HPより

 https://247arquitetura.com.br/ 

デザインを整えるうえで、アクセントウォールとは非常に効果的で経済的な考え方です。高価な材料を建物の全体に用いてしまうと、コストが一気に跳ね上がってしまいますが、部分的にスペックの高い材質を取り入れることによって、コストバランスをとりながらファサード全体が間延びすることも防ぐことができます。

魅力的な植栽の影は、それだけでも魅力的な表情を生み出すことが可能になります。壁面そのものには高価なタイルなどを用いることなく、植栽の影を映し出すための「キャンパス」として機能することに徹する。目地のないシームレスな表面を構成することができるシンプルな白系の吹付け材などが望ましいでしょう。

このようにすれば、建物のスペックを上げることなく、自然で趣のあるアクセントウォールを作り出すことができますね。 

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 出典「TAO-arquitectura」HPより

   http://tao-arquitectura.com/

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 出典:「MM++Architects」

    http://www.mmarchitects.net/index.html 

夜間は照明によって、植栽の影が壁面に映り込むように計画できるようにするのも魅力的です。スポットライトなどで下から照らしてあげると、植栽のシルエットが映し出されます。ヤシの木などのような繊細な形状でリゾート感を演出するということも可能です。

アプローチには木漏れ日感を 

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  出典:「MM++Architects」

    http://www.mmarchitects.net/index.html  

出かけるときに毎日通るアプローチ部分にも何らかの魅力づけはしておきたいですね。朝日の上る方向に中木や高木があれば、アプローチに美しい植栽の影を落としてあげることができます。

毎日通るアプローチ空間が魅力的な場所になると、家族みんなの日々の生活にもより豊かな彩りを与えることができます。単なる通過動線にするのではなく、木漏れ日感のある一日のスタートを演出してみるのはいかがでしょうか。

お部屋の中にも植栽の影を取り入れたい 

家のファサードやエクステリアだけではなく、できればインテリアにも魅力的な植栽の影を取り入れることができればうれしいですね。常に身近に自然の気配を感じられる居住空間は心にもゆとりを与えてくれます。 

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  出典:「MM++Architects」

    http://www.mmarchitects.net/index.html  

もしあなたの寝室が東面に面しているのであれば、ぜひ朝日によってうまれる植栽の影をお部屋の中に取り入れたですね。

1階であれば庭の窓際付近、2階であればバルコニーがあれば植栽を設けることができますね。これらが難しいようであれば、少し大きめの観葉植物を室内窓際付近に置くだけでも効果的です。

ほんの少し、植栽の影があるだけで朝の目覚めがより爽やかな寝室を生み出すことが可能になります。 

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 出典:「MM++Architects」

    http://www.mmarchitects.net/index.html 

吹抜けがある場合は、トップライトやハイサイドライトからの光を介して室内に植栽の影が落ちるようにできれ自然を感じさせるリビング空間を創出することも可能です日光を程よく遮りながら光を取り入れることもでき、機能的にも合理的な採光計画とすることができます。 

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  出典:「MM++Architects」

    http://www.mmarchitects.net/index.html  

浴室、洗面室、トイレなどのサニタリー空間にかすかに植栽の影を取り入れるというのも有りです。休日の朝に自然を感じながら爽やかなシャワータイム。洗面室での毎日の洗濯家事のときにも、植栽の存在を感じることでほんの少しでも心のゆとりが生まれれば、それは大きな価値ですね。

まとめ 

いかがだったでしょうか。植栽の影はあなたの生活にさまざまな魅力や価値を与えてくれます。日常生活のどの部分にそれを取り入れていきたいかを考えていくことから始めてみてはいかがでしょうか。敷地もじっくりと見てみましょう。美しい木の影があなたの敷地にあればラッキーです。どのように取り入れて生かしていくか、ぜひ検討したいですね。

緑そのものの魅力だけではなく、その「影」まで生かしきりましょう。