家づくりのもの決めで迷いが生じたとき
迷いや悩みはあらゆるものごとにおいて生じるものです。家づくりも例外ではありません。いや、家づくりこそ迷いや悩みがとめどなく溢れる、そんな方が大多数だと思います。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
今回は、家づくりでもの決めを進めていく上で、迷ったり悩んだりしたときにときにどのように決めていくか、どうやって落としどころを探っていくのが良さそうか、ということについて考えてみたいと思います。
■悩みすぎて、もの決めがなかなか進まない。
■決めること・選ぶこと・決断することが怖い。
■選んだものの、後で後悔するかもしれない。
上記のような方にぜひ読んでいただきたいです。
家づくりは決めることがいっぱい
家づくりでは実に様々なことを決めていく必要があります。なぜなら建物はたくさんの構成要素から成り立っているからです。
外観のデザインや色、インテリアの壁紙や床、どんな家具を置くか。照明のデザイン。細かい部分だと巾木の色や扉のレバーハンドルの色。設備関連だと、キッチンの仕様やデザイン、どんな機能をオプションで追加していくべきか。キッチンのほかにもユニットバスやトイレ、洗面化粧台も同様に選んでいく必要がります。建物だけではありません。外構についても、舗装をどのように仕上げるか、植栽を設けるのであれば樹種、塀や門扉、ポストはどんなデザインのものを選ぼうか。。。
ざっと思いつくだけでもかなりたくさんありますね。当然、設計者がこれらすべてを決めることはできます。しかし、その家に住むのはあなたで、お金を出すのもあなたです。洋服を買うときも、どの色にするか選ぶのは自分自身ですよね。
まずは「住む人」としての自覚をしっかり再確認した上で家づくりに挑むようにしましょう。
とはいっても抱え込み過ぎる必要は無い
逆にあなたがすべてを一人で決める必要もありません。あなたの迷いや悩みを解消しながら、疑問を解決しながら、納得のいくもの決めができるようにサポートするのが設計者の仕事です。
わからないことがあったらどんどん設計者に聞いてみたり、アドバイスを求めたりしてみましょう。どういうポイントに迷いを感じているのかを伝えることで、選択する上でのポイントや考え方を教えてくれるはずです。
決めやすいところから決めればいい
すべてのトピックに対して即断・即答する必要も当然ありません。例えば外装、内装、設備、自分にとってどれが決めやすいか、そして楽しんで考えやすいかを思い浮かべてみましょう。
もの決めに行き詰ってしまうとお互いつらくなってしまうこともあります。そんなとき、そのお客さまがどんな内容からが決めやすいかを考えながら、トピックを変えつつ探り探りお話しするようにしています。
「この内容から決めていきたい!」という意思がもしあれば、それを設計者に伝えてみるのもいいでしょう。
お気に入りがあればそこから決める
例えばお気に入りの壁材や床材、ファサードに取り入れたい材料があればそこから決めるのもやりやすいですね。
使いたい材料に合わせて周辺を決めていくとスムーズに決まっていくことが多いです。例えば、
「メイプルの明るい床で空間を明るくしたい」
「高級感のある濃いめの柄の玄関扉でウェルカム空間を演出したい」
「モノトーンの外壁材を使ってシックでモダンなファサードを構成したい」
なとなど。
何かひとつでも自分の中でコンセプトがあると決めやすかったりします。建築においてコンセプトはとても重要であると同時にひとつの指標になるので、もの決めの手がかりにもなりやすいです。
コンセプトに沿って決めていくことで、自分自身の中でも納得がいきやすく、自信を持って判断していくことができます。
しかし、明確なコンセプトがすぐに思いつけばいいのですが、今度は逆にコンセプトを考えることに迷いを感じてしまう方もいるかもしれません。
上記に掲げたようなカチッとしたコンセプトまでもし思いつかなかったとしても、「何となくこんな感じがいいな、こんな雰囲気がいいな」ぐらいの何かがあればそれだけでももの決めの手がかりになります。
最近ではインスタグラムやフェイスブックなどのSNSも普及していて様々な画像を見ることができますよね。普段から好きな雰囲気の画像を集めておいたり、雑誌で気になるページを破産しておいたりしておけば、ご自身のお好みを設計者に伝えやすく、逆にこちらからも提案がスムーズにできて、もの決めが円滑に進むことが多いですね。
お金で迷ったら
昔、ローマ時代の建築家のウィトルウィウスは建築における大事なものとして「用」「強」「美」 の3つの条件を掲げました。
人間って、今も昔も何かと3つの何かを掲げるのが好きですね。
だいたい何かわかると思いますが、
「用」は機能性。便利さとか使い勝手の良さですね。
「強」は建物の強さ。つまりは構造の強さですね。
「美」は意匠性。つまりは見た目の良さ、カッコよさ、デザイン性ですね。
当然家づくりにおいてもこの3つの要素は大切ですが、安全性が現代の家づくりにおいては当然のものとして扱われます。丈夫な構造は当然成立するように計画されるのが前提になるので、家づくりのもの決めで悩む場面には、あまり構造の要素は登場してきません。
その代わりにしばしば出てくる要素が「お金」ですね。
これをやったらこれだけ追加でコストがかかってしまう、どうしよう。よくある場面ですね。そんなときの一つの考え方がわり算です。
広めのバルコニーを設けて、バーベキューを楽しみたい。仮に、バルコニーを作るのに100万円かかるとします。年に3回ほどバルコニーでバーベキューをするとして、仮に30年の期間で考えると、生涯で合計90回、バルコニーでバーベキューをすることになります。
バルコニー設置費用をバーベキューの回数でわり算するとだいたい一万円。一回のバーベキューの場代としてこれを高くみるか、安くみるか。
キッチンをオシャレに便利にグレードアップして50万円追加コストがかかってしまう場合。毎日の家事の負担軽減や、オシャレなキッチンで作業することによるモチベーションアップ。日常の家事におけるこれらの効果の対価として、50万円。年間あたりだといくらだろうか。
上記のような感じで、自分にとっての価値とそれに必要となる対価を見比べる。何十万円という金額だとイメージしづらいようであれば、年間あたり、一回あたり、みたいな感じでわり算すると考えやすいかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は家づくりのもの決めで生じる迷いや悩みに直面したときの考え方についてまとめてみました。
様々な考え方を試してみながら、焦らずにじっくりと、納得のいくもの決めを進めてくださいね。