家づくりのガイドブックA GUIDEBOOK OF IEZUKURI

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階段について知っておきたいこといろいろ―注意点など

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階段については注意しておきたいポイントがたくさんあります。

こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

毎日上り下りするので、使い勝手が悪かったり上りにくかったりすると不便なだけではなく危険ですし、最悪の場合転落やけがの原因にもつながりかねません。

今回は階段を計画するときに気にしておきたいポイントや注意点などをまとめていきたいと思います。

なお、階段の種類については下記の記事にまとめていますので、合わせてお読みいただければより理解が深まると思います。 

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階段の勾配 

階段の勾配は上りやすさに大きな影響があるのでぜひ確認しておきたいところですね。

法的に階段の勾配は、建築基準法の中で「蹴上(けあげ)」と「踏面(ふみづら)」の寸法で規制されています。

「蹴上」とは階段一段あたりの高さのことで、「踏面」は階段1段あたりの奥行きの寸法を指します。

一般住宅の場合、建築基準法上で蹴上寸法は23cm以下、踏面寸法は15cm以上で制限されています。しかし、実際この規制値ギリギリで階段を作ってしまうとかなり急な勾配で非常に上りにくいです。おそらくこのような寸法で計画されるようなことはまずありえないと思います。

一般的には蹴上20cm以下、踏面22~25cm程度で計画されることが多いです。逆に、蹴上が小さすぎたり、踏面が大きすぎたりするとかえって上りにくくなります。

踏面寸法をT(cm)、蹴上寸法をR(cm)とした場合、

55cm≤T+2R≤60cm

の関係が成り立てば上り下りがしやすい階段になると言われていますので、確認する上で一つの目安にできそうですね。あとは、住宅展示場や今現在の住まい、普段使っている階段の寸法を測るなどして、どのような寸法が自分にとって上り下りしやすいかを確認しておけば間違いなさそうですね。

階段の手すり

手すりも階段の上り下りに関連してきます。踊り場やコーナー部も途切れることなく手すりが続いていると、高齢の方や足腰の弱い方にとっても安心ですね。左右のどちら側に手すりがついているかについても気にしておきたいですね。

原則として階段を降りるときに利き手側に手すりがついているべきです。上るときよりも降りるときのほうが、転落のリスクが大きかったり、恐怖心を感じやすいことが多いためですね。

もし不安であれば両側に手すりを設けておくというのも一つの選択肢だと思います。上り下りするときに狭く感じたり邪魔になったりするのでは?と心配される方もいますが、そこまで気にならないはずです。上り下りにもし不安がある場合はぜひ両側手すりを検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、2階にリビングダイニングがある場合で、大型の家具や家電が階段を介して搬入される想定であれば、搬入作業に邪魔にならないか十分注意する必要があります。

なお、手すりが両側についているよりも片側だけのほうが、見た目的にはやはりすっきりします。

後々手すりを設置するための下地を壁の中に仕込んでおけば、将来設置も可能なので、手すりを設けるタイミングも含めて考えてみるのも良いでしょう。

手すりの断面形状もいくつか種類があります。丸形、楕円、長方形断面など。つかみやすさには個人差がありますので、できればサンプルなどでつかみ心地を体感した上で形状決定するのが望ましいでね。また、手すりの端部は服の袖が引っかからないような形状であれば安心です。

踊り場

省スペース化のため、踊り場部分にも段差を設けることが多いと思います。例えばL字型階段のコーナー部を2つ割りとか3つ割りにしたり。

U字型階段のときに折り返し部分の分割は注意しましょう。5つ割までであれば上り下りに支障はなさそうですが、6つ割りになるとかなり上りやすさが低下してきます。人によっては不安を感じることも多いので、5つ割までにとどめておく方が良いです。

踊り場にはニッチを設けて飾りを演出するのも楽しいですね。照明と合わせてデザインすれば上り下りが楽しい階段が生まれそうです。 

廊下や階段は薄暗くなりやすい場所なので、可能であればぜひ窓を設けておきたいですが、階段に設ける窓については設置高さに十分注意しておきましょう。

基本的に、窓の取り付け高さは各所なるべく共通のレベルで設けられることになります。窓枠の上端が床から2mとか2.2mとか。そして、このルールでそのまますべての窓が各所設定されていった場合について。窓が階段のどの部分にあるかにもよりますが、階段踊り場にもし窓があったとすると、窓がかなり高い位置で手が届かないということになります。

窓の設置レベルを調整するか、チェーンオペレーターで開閉操作ができるようにしておくか等を検討するようにしましょう。 

照明

階段部分の照明も忘れずに確認しておきましょう。上り始めと上り切り部分にそれぞれスイッチを設けてどちらからでもオンオフできる三路スイッチにしておけば便利ですね。

また、階段部分の照明を天井面に設けると、照明器具に手が届かずに掃除や故障時の交換が困難になることがあります。

これを避けるには、壁面にブラケット照明を取り付けるようにするという選択肢があります。ただし、設置位置が低すぎると階段を歩く際に邪魔にならないか、等を注意しましょう。

床面から30cm程度の高さにフットライト(足元灯)を設けておくのも良いでしょう。常夜灯にしておく、あるいはセンサー式で通行時のみ転倒するように設定することもできます。夜中の上り下りも安心ですね。 

色の選び方は基本的に隣接する廊下の床フローリングの色に合わせることが多いですが、1階と2階で床色が異なる場合は、どこで色を切り替えるのか検討が必要です。

また、踏面と蹴込みの色については、同色にするのもいいですが、別々にするのも面白いですね。色が分かれていれば段差がわかりやすいというメリットもあります。 

まとめ

 以上、今回は階段のポイントをまとめてみましたがいかがでしょうか。

細かな注意すべき点がたくさんありますが、丁寧に一つ一つ検討と確認をしていけば、安全で使いやすい階段ができあがること間違いなしなので、ぜひ本記事の内容を参考にしていただければと思います。