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キッチンのワークトップ、材質はどう選ぶべきか?

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こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。

建築士ですが料理も大好きです。 

キッチンの永遠のテーマでもあるワークトップの材質について考えていきたいと思います。今回はステンレス、人工大理石、クオーツエンジニアリングストーンの3つの材料について、それぞれのメリット・デメリットをまとめていきたいと思います。 

キッチン選びで悩んでおられる方はぜひ参考にしてほしいと思います。

ご自身の料理スタイルに合ったワークトップを選択するためにもぜひご一読ください。 

ステンレスワークトップ 

まずはステンレスワークトップの特徴をまとめていきたいと思います。

ステンレスキッチンは日本で普及してから50年以上になりますが、昔に比べて材料の性能も向上し、よりさびにくくなってきています。 やはり耐水性に優れていたり、さびにくいというメリットは大きいですね。

ただし、鉄製の鍋を長時間置きっ放しにするともらい錆することもあるので注意が必要です。 

耐熱性にも優れています、と言いたいところですが、これについては注意が必要で、確かにステンレスそのものは熱に強い材料ですが、ステンレスのカウンターの下地部分は木製のパーティクルボードの補強版だったりするので、ステンレスの仕上げ材と補強版の接着部分の接着が熱によって剥離してしまう可能性はあります。その結果、ステンレスがべこべことしてしまうこともあります。なので、熱に強いという特徴をそのまま鵜呑みにして、熱い鍋やフライパンを置きっ放しにするのはやめておいたほうが無難です。鍋敷きを使うことをお勧めします。 

衛生面でも優れています。においや汚れが付きにくく、カビが繁殖しにくいです。とはいうものの、水垢はやはり発生するので、こまめに水気は拭き取る方が綺麗な状態を維持しやすいです。水垢を放置しすぎると、水跡が取れにくくなったりすることもあります。 

傷がつきやすいです。その短所を補うために、表面に細かい凹凸のエンボス加工やバイブレーション加工を施したものも多いですが、使い続けることによって徐々に光沢が無くなっていったり、傷がついたりしていきます。ずっと最初と同じピカピカというわけではなく、だいたい半年から一年ぐらいすると、だんたん使った感が出てきます。 

コスト的には、メーカーや製品にもよりますが、人工大理石に比べて若干安い傾向があります。 

以上がステンレスワークトップの特徴になります。いろいろとメリットは多く、調理に必要となる機能をバランスよくクリアしており、安定感のある材料と言えます。プロが使う厨房もほとんどがステンレスであるというのも、この安定感によるのかもしれません。実際に本気で料理がしたい方はステンレスを選択される傾向があるように思います。

あとは、デザイン的にも好みが別れやすい材料という点も要確認かと思います。昔からある材料なので、年配の方はステンレスのほうが何となく落ち着くという場合もあれば、どうしても金属で冷たい感じがして気になるという方もいますし、逆に無機質な感じがシックとかモダンなスタイルなインテリアにマッチするという方もいらっしゃいます。

特徴を押さえた上で、ご自身の好みにも合うかどうかを踏まえて検討していきたいですね。  

人工大理石

アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした人口素材のことで、略して「人大(じんだい)」と呼ばれることが多いです。一般的に、アクリル製のほうがポリエステル製のものより汚れを落としやすく、耐候性・耐衝撃性も優れていて、値段もアクリル製のほうが上がってきます。

多彩なデザインがあるのが特徴です。色、質感、艶など複数の柄から選択することができます。

細かな傷や取れにくくなった汚れはメラミンスポンジでこすれば落とすことができます。ただし、濃い色の人大の場合、こすると白っぽく変色することがあるので注意が必要です。また、落としきれなかった傷が残った場合、経年でその傷に汚れが入り込んで、黒っぽい線で傷汚れがだんだん浮かんでくることもあります。 

白系の色を選べば、ステンレスよりも水垢は目立ちにくいです。一方で真っ白な色を選ぶと日当たりの具合にもよりますが紫外線による若干黄ばんでくる可能性があります。この場合は、照明の色や明るさを調整して変色が目立たないようにしたいですね。 

熱や液体のシミで変色しやすいです。熱い鍋やフライパンは必ず鍋敷きを使用してください。醤油やワインなどをこぼして、放置してしまうとシミが残ります。こぼした時は必ずしっかり拭き取りが必要です。 

金属であるステンレスに比較して、水を流した際の音が静かです。ただし、ステンレスシンクも最近では清音タイプが開発されえ昔ほど音が気にならなくなってきています。 

ステンレスに比較して、硬いものを落としてしまったときにシンクが割れる確率が高いです。グラスや食器類を扱うときは注意しましょう。 

人工大理石は、石と言いながらも不燃材ではなく、可燃材です。よって火にさらされて不完全燃焼により一酸化炭素が発生する危険性があるという点は注意が必要です。 

クオーツエンジニアリングストーン

天然のクオーツ(石英や水晶のこと)93%程度と樹脂で成形した材料で、欧米で人気ですが、近年日本においても普及が進んできています。耐汚染性、耐熱性に優れ、傷がつきにくく、結構ハイスペックな素材といえます。値段も結構上がってきます。 

樹脂により表面の空孔を無くすことで、吸水率が0.02%以下(御影石で0.15%、大理石で0.09%)に抑えられており、これによってかなりの汚れにくさが実現されています。また、水晶が主成分であることから硬さを示す指標であるモース硬度は7(御影石はモース硬度6、大理石はモース硬度3)と高い数値になっており、かなりの丈夫さが実現されています。まな板無しで天板の上で直接包丁使っても大丈夫みたいに言われるほどですが、逆に包丁が傷みそうな気がするので、ちゃんとまな板は使った方が良さそうです。高級感のある質感でデザイン性にも優れており、オープンキッチンなど、インテリアとして「魅せる」キッチンを演出したい場合はかなり効果的だと思います。

加工の面でも天然石よりも自由が利くことが多く、大きめのカウンターでも一枚もので制作できたりします。

まさに、天然と人工のいいところどりをした素材であるといえそうです。 

まとめ

以上、キッチンのワークトップの材料についてまとめさせていただきました。

それぞれの材料の特徴を十分理解した上で、よりご自身の料理スタイルに適した素材を選定していきたいですね。