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照明計画のポイントまとめ(その1)―リビング・ダイニング・キッチン編

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壁の色を選んだり、キッチンの種類を選んだりするのは比較的イメージしやすいと思いますが、照明計画となると少しイメージがわきづらいという方は多いと思います。

しかし、照明計画によって部屋の雰囲気は大きく変わります。雰囲気だけではなく、まぶしいとか暗いなどといったように部屋の使いやすさ・過ごしやすさにも影響が生じることがあります。

そこで、家の中の各部屋ごとに照明計画を立てる際に気を付けなければならないこと、知っておくべきことをまとめていきたいと思います。

まず今回は家の中の生活の中心となるリビング、ダイニング、キッチンの照明を計画する際に配慮するポイントをまとめていきたいと思います。

一室一灯照明方式と多灯分散照明方式

賃貸マンションとかでは、部屋の真ん中あたりの天井にシーリング照明が一つついた一室一灯照明方式が多いですよね。スイッチ一つで部屋全体が均質に明るさを確保できるのが利点ですが、逆に言うとONかOFFかの選択肢しかないのが難点です。 リビングダイニングキッチンで行われる生活行為を思い浮かべてみてください。食事、テレビや映画鑑賞、読書や学習、団らん、くつろぎなど、多種多様です。その他にも、アートや観葉植物などを照らして演出したいという要望もあるかもしれません。

このように多種多様な生活行為や使い方が想定される一方で、ONとOFFの二択しか照明環境が選べないのは非常に非効率で、省エネの観点からも望ましくありません。 基本的に新築一戸建ての場合、リビングダイニングキッチンの照明計画は底ワットの複数のダウンライトを分散配置させる多灯分散照明方式で計画するのが一般的です。 必要な光を個別に点灯するので、無駄なエネルギーを消費せず、特にリビングなどの多様な生活行為が想定される空間において有効な照明方式なのです。

リビングの照明計画のポイント

まず、リビングにおける照明配置は家具のレイアウトに気を付けたいです。計画段階で、家具のレイアウトは十分に検討をした上で照明レイアウトを定めていきたいですね。

また、テーブルやソファの位置が将来的に変更になった時に、通常のダウンライトだと照らしていた位置に家具が被ってしまったり、不要な部分を照らす形になってしまったりする可能性があります。

それを防ぐには、照射する方向を調整することができるユニバーサルダウンライトや、ライティングダクト、スポットライト等を組み合わせて使うという手法があります。

また、調光制御システムを合わせて取り入れることによって、明るさの調整が可能となります。より細やかな調整がきくことにより、多様な光環境を簡単に創出することができます。

一度設定した光環境はコントローラに記憶させておくことで、いつでも簡単に設定したシーンを呼び出すこともできるので、毎回いちから設定しなおすような面倒なこともありません。

ダウンライト以外にもいろいろな照明を 

また、天井ダウンライトだけではなく様々な照明を追加設けることによってさらに空間の質を高める演出が可能です。

例えば空間の明るさが少し不足するように感じた場合はコーナー部にフロアスタンド照明を置くのが効果的です。コーナー部に設置することによって壁面が照らされるので、空間全体の明るさ感はUPします。またコーナー部には床埋め込み照明も効果的です。インテリアグリーンと合わせてレイアウトすることによって壁面に植物の影を美しく演出することが可能です。

家具をスポット的に照らすのも効果的です。例えばリビングのサイドテーブルを照らしたときにグラスのエッジが輝く様子なんかはとても非日常的なムードが感じられると思います。ドアや窓の床面をスポット的に照らすのも、空間のアクセントが効いてドラマチックな演出ができます。

そして非日常感の演出には間接照明が欠かせません。家具の上部や、カーテンボックス、織り上げ天井、ニッチなど、様々な場所に間接照明を仕込むことが可能です。

吹抜けがある場合の照明計画で気を付けたいこと 

例えばリビングに吹抜けがある場合、照明に関して特に注意したいのはメンテナンス性です。仮に、吹抜けの天井面に照明を設置した場合、脚立でも交換やメンテナンスはできません。昇降装置付きの照明器具を選択するという手法もありますが、コストがかかります。

ではどうするか。

あくまで照明器具本体はメンテナンスが可能な高さに設置し、そこから天井面を狙って照射するという手法が考えられます。カーテンボックスやコーブ照明、梁などが利用できます。単純に壁にスポットライトやブラケット照明を取り付けて、天井を照らすのもありです。ただしこの時、2階レベルからの見下ろしの視線に照明器具本体が見えないようにする配慮が必要になりますので注意したいです。

ダイニングの照明計画 

まず何よりダイニングテーブルの配置をかちっと定めるのが優先です。

ダイニングテーブル上部にペンダント照明をぶら下げればオシャレな食卓を演出できます。ライティングダクトに設置できるペンダント照明にしておけば、エクステンションテーブルにも対応できます。

ただし、ペンダント照明はホコリが溜まりやすいので、こまめな掃除が必要である点に注意が必要です。また、ハウスダストがNGな方には嫌がられる傾向があります。

テーブル周りで絵画やアート、観葉植物をスポットで照らすことができればレストラン感が出てきます。

また、ダイニングの照明の色は演色性に優れた電球色(オレンジっぽい色)が良いと言われます。電球色の照明は、食欲を高める赤やオレンジ色を強調して照らすことができ、食べ物がよりいっそう美味しそうに見える効果が期待できます。

しかし、一方で、最近のダイニングは食事以外にもお子様の宿題や勉強、読書などの行為も想定されることが多いです。これらのような集中力が求められる作業の場合は、昼白色や昼光色と呼ばれる色の照明が適しています。

なので、あらゆる行為に対応できるようにしたいとなるとやはり照明の色を必要に応じて調整できるようにしておきたいですね。

食事中も勉強中も同じですが、まぶしい光が視界に入ってくると気になるし煩わしいですよね。この視界に光源が入ってきて見づらくなる現象をグレアと呼びますが、このグレアを極力防ぐことも大切です。

ペンダント照明の場合は、座った時に視界に光源が入ってこないような器具高さになるように吊り下げ高さを調整するようにしましょう。

ダウンライトの場合はグレアレスダウンライトが適しています。グレアレスダウンライトは器具本体が点灯しているように見えないのに、きちんと照射はしてくれるという特徴を持っているので、グレアの抑制に効果的です。

キッチンの照明計画のポイント

キッチンについてもダイニング同様に食材を扱う場所なので、演色性の高い照明を選定するのが基本になります。そして、調理を効率よく行うために機能性が重要になってきます。手元が適切に照明で照らされているかが大事です。自分自身の影や吊戸棚の影で手元が暗くなって作業に支障がないかをよく検討したいところです。シンクやカウンターの上に吊戸棚がある場合は、必要に応じて棚下に薄型ダウンライトを設置するなどで対応できます。

まとめ

以上、家の中心となるLDK部分の照明計画を立てる際にポイントとなる事項をまとめてみました。その空間の中でどのような行為が想定されるのかによって求められる照明も変わってくると思います。家具のレイアウトやグレアの抑制等を踏まえた使い勝手の良さを求めつつ、間接照明などによる演出性も効果的に取り入れながら、快適で美しい光に満ち溢れた生活空間を創出してくださいね。

照明計画に関しては、下記の記事も合わせて参照ください。

 

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