壁紙クロスを選ぶときに知っておきたいことすべて
どのような種類の壁紙を張るかを考えるのは楽しいですね。
こんばんは。家の設計をしております、建築士の「いえもん」です。
好きな色柄のクロスを選んだり、テクスチャにこだわってみたり、空間をイメージしながら壁紙の種類を検討するのは楽しい部分ではありますが、いろいろと知っておきたいこともあります。
壁紙を張ったあとに後悔しないためにも、知っておくべきことをまとめてみました。
壁紙を検討中の方はぜひお読みいただければうれしいです。
白色の壁紙
壁紙メーカーのサンプル帳を見るとわかりますが、クロスの種類は本当に膨大で、すべてを1枚1枚見比べながら絞り込んでいこうとすると膨大な時間がかかります。
なので、迷ったら白一択でOKとアドバイスされる場合も多いですがちょっとだけ注意が必要です。
確かに白はシンプルで無難な選択肢です。あらゆる床材の色や家具・カーテンなどにも合わせやすいです。実際に今住まれている家の壁もだいたい白色の壁紙だと思います。白色の壁をベースクロスにすると空間全体を爽やかに広々と感じさせるような演出が可能ですが、極端に真っ白すぎるクロスを部屋全体に張ってしまうと、見た感じが明るすぎて落ち着かなく感じてしまうことが多いです。
純粋な白よりかは、わずかにアイボリー・グレー・ベージュあたりが入ったような白を選ぶと空間全体が安定しやすいです。ベースクロスを選定する際には注意しましょう。
また、もし室内での喫煙がある場合は、明るい色は避けたほうがいいです。防汚機能を備えたクロスもありますが、全面に付着したヤニ汚れを拭き取っていくのは大変です。
濃い色の壁紙
黒やダークグレーなどの濃い色の壁紙は、シックでモダンな落ち着いた演出をするのに適しています。スタイリッシュな空間にしたい場合に効果的ですね。
しかし、トイレや廊下などの狭い空間で使うと、圧迫感が生じて空間が重たい雰囲気になったり、よりいっそう狭く感じるような空間になる可能性があります。
また、濃い色を多用しすぎると薄暗い印象になる可能性もあるので注意が必要です。濃い色の壁紙を使うときは、部屋前面の壁に張るよりは、部分的にアクセントとして張る方が効果的な場合が多いです。アクセントウォールの面積は、部屋の壁全体の20%以下程度が良いと言われています。目安として覚えておきましょう。
季節感のある色の壁紙
例えば涼しげなリゾート感を感じさせるスカイブルーのクロスは夏には効果的な演出になるかもしれませんが、冬は寒そうな感じがして落ち着かないかもしれません。
逆に暖色系のピンクやオレンジ系のクロスは冬には温かみが感じられて心地よいかもしれませんが、夏は暑苦しく感じるかもしれません。
特定の季節に特化しすぎた色味にしてしまうとこのように、時期によっては不快に感じる場合もあるので、全面に張るよりは範囲を限定してアクセントウォールにするなどで調整しましょう。
厚みが薄い壁紙
クロスの厚みにも注意しておきましょう。
室内の壁は木の下地を組んで石膏ボードを打ち付け、ボード面は平滑になるようにパテ処理した上で、クロスを張っていく形となります。
このパテ処理ですが、ボード面の不陸や凹凸を完全に無くしきるのは非常に難しく、クロスを張った時に不陸を拾ってしまうことがしばしばあります。
このとき、薄いクロスの場合だとクロス表面がぽこっと小さく膨らんでしまうことがあります。間接照明などの当たり具合によっては小さな影ができて不陸が目立ってしまうこともあります。これを防ぐにはある程度厚みのあるクロスを選んだほうが無難です。特に照明が当たる部分は注意して選びましょう。クロスは実物サンプルを確認しながら選ぶようにしましょう。
フェイク系の壁紙
クロスの中には、石調、レンガ調、コンクリート調、木調、等のようにさまざまなテクスチャを模した種類のものがあります。サンプルを見ると、一見結構リアルに質感を再現しているように見えるものも多いですが、実際に張ってみるとやっぱり偽物っぽかったりすることもあります。
経験上、木調クロスは結構きれいに本物っぽく見えてくれる場合が多いですが、石とかレンガ、特にコンクリート調のものは結構偽物っぽくなることが多いです。結構安っぽく見えてしまいます。
クロスはなるべく大きめのサイズのサンプルで確認するようにしましょう。メーカーさんに依頼するとA4サイズなどで用意してもらえるのですが、内装メーカーのショールーム等に行くと、もっと大きなA1サイズとかで見れたりもするので、足を運んでみるのも良いでしょう。
ボーダー柄の壁紙
壁紙は縦方向に張っていく形で施工するので、タテストライプのような柄であれば継ぎ目は目立ちにくいですが、横ボーダーの柄だと継ぎ目が目立ちやすいので注意が必要です。
床・天井との組み合わせ方
開放的な空間を演出したい、天井を高く見せたいといった場合は床・壁・天井の順に、徐々に色を明るくしていくのが効果的です。
寝室や書斎などで、落ち着き感が求められる場合は、天井を濃い色にしても効果的です。
面積効果
同じ色でも小さな面積よりも大きな面積で見たときのほうが、明るく見えるように感じます。これを「面積効果」と呼びます。5センチ角ぐらいの小さなサンプルで見た場合と、実際に壁に張ったクロスを見た場合とでは、明らかに印象が変わって見えてきます。
なるべく大きなサイズのサンプルで実物確認をするようにと前述しましたが、この面積効果による色のイメージの違いを防ぐ目的もあります。それでもやはり実際に張ると少し明るく感じるので、思い浮かべているイメージよりも少し濃く感じるぐらいのものを選ぶとちょうど良いでしょう。
子供部屋のクロス
クロスを子供部屋に張るときに、かわいい色の柄を選らんんで張ることもありますが、個人的にはあまりお勧めしないようにしています。
子供は成長に応じて、目まぐるしいスピードで好みも変わっていったりします。
なので、小さい頃の好みに合わせて張ってしまうと、小学校、中学校、高校、大学と進んでいくにしたがって、好みも変わっていき、良かれと思って張ったクロスが微妙になったりします。
そもそも、子供部屋が使われるのはせいぜい十何年かぐらいです。
子供部屋の内装にこだわりすぎるよりかは、リビング・ダイニングなどのみんなで長く使う場所にしっかりと力を注ぐ方が良いと考えます。
あるいは、やるとしたら替えがきくカーテンや家具類でこだわってあげてはどうでしょう。
廃版
クロスの商品は数年スパンで 改廃を繰り返しています。
なので、選ぶときは必ず最新のカタログや見本帳であることを確認した上で選んでいきましょう。
せっかく気に入って選んだクロスが実は使えないとなるととても残念です。
まとめ
以上、クロスを選ぶときに知っておきたい知識をまとめてみました。
素敵なクロスを選ぶためにぜひ参考にしていただければ幸いです