ニッチのメリット・デメリットを4つずつご紹介&デザイン事例5選
こんばんは。家の設計をしております建築士の「いえもん」です。
みなさんは「ニッチ」についてご存じでしょうか。ニッチとは、壁の一部分を凹ませてモノを置いたり飾ったりすることができるデザイン手法です。見た目がオシャレになることから人気も高く、採用される方も非常に多いです。壁にニッチを設けることによってメリットもあれば、注意点もありますし、効果的な取り入れ方のコツやポイントもいろいろとあります。
今回はそんな「ニッチ」に関して、メリットとデメリットをご説明させていただき、どのようなデザイン事例があるのかについても合わせてご紹介させていただきたいと思います。
●ニッチに興味があり、ぜひ取り入れてみたい
●メリットやデメリット、ニッチににする上での注意点を知りたい
●効果的なニッチのデザイン事例を見たい
上記のような方はぜひご覧いただけるとうれしいです。
ニッチのメリットとは
壁にニッチを設けることによって得られるメリットは以下のような感じです。
●空間を広く、オシャレに見せることができる。
●ものを置いたり、飾ったりすることができる。
●リモコンなどの設備類を集約することができる。
●携帯充電スペース、マガジンラックなどのような使い方も可能。
基本的にもともと壁であった部分をくりぬいてニッチを作るので、空間が狭くならないというメリットが挙げられます。壁から棚板などが出っ張ってこないので、見た目がすっきりしますし、物理的に部屋が狭くなることもありません。
ニッチがあるだけでも何となく空間がオシャレに見えますし、オシャレな小物を飾ったり、観葉植物を置いてみたり、間接照明やアクセントクロスを合わせて演出してみたりすることもできます。
リモコン類等の設備関連の機能をニッチの中に集約することもできます。例えばスイッチ、コンセント、給湯器用リモコン、床暖房コントローラー、電話やインターホンの子機など。
このようなリモコン類は小さいですが、なんだかんだ壁から2~3cmほど出っ張ってきます。前を通るときにちょっと当たったり、荷物を持って通るときにちょっと邪魔に感じたりすることもあります。また、家具や冷蔵庫等の搬出入の時などに当たってしまうということもあるので、可能であればニッチにして壁の中にすっきりと納めることができれば安心ですね。
マガジンラックとしてオシャレに利用することができれば素敵です。オシャレな雑誌を定期購読しているような場合はカッコよく見えそうですが、もしそうでなければ、雑多な日用品が詰め込まれるような使われ方になってしまいそうなので注意が必要です。かえって生活感が漂ってしまうかもしれません。
ニッチのデメリットとは
次にニッチを設けることによるデメリット・注意点についてですが、下記のような感じです。
●多少費用がかかる。
●ニッチを設けることができる場所は制約がある。
●奥行きはあまり確保できない。
●音漏れ、ホコリだまり、等
やはりニッチにすることによって壁をへこませる手間はかかってきますので多少費用は発生します。と言っても数千円程度であることが多く、1万円もすることはあまりないとは思います。ただし、アクセントクロスや特殊なカウンター材を使ってみたり、ニッチの形状を特殊な形にしていくと、もちろん値段はもっと上がってきます。
また、ニッチを設けることができる場所はいろいろと制約があります。外壁沿いの部分は原則としてニッチを設けることはできません。外壁沿いの壁には基本的に壁下地部分に断熱材が仕込まれているので、ニッチを設けてしまうと断熱材が欠損してしまい建物の断熱性能に影響を与えてしまうのです。
なので、もし外壁沿いの部分にニッチを設けようと思うと、壁全体を余分に分厚くして(ふかして)くりぬくというやり方になってしまいます。もちろんその分部屋の有効面積は減ってしまいますし、余分に壁を分厚くするための材要否や手間代で費用は発生してきてしまいます。その他にも薄壁部分や構造筋交い部分にも、基本的にニッチは設けることができません。
そして、ニッチは基本的に壁厚の中で作ることになるので、それほど大きな奥行きを確保することはできないということには注意しましょう。せいぜい8~10cmぐらいの奥行き寸法です。なのでしっかりとした収納スペースとして利用するのは無理があります。大きなものを飾りたい、本を置けるぐらいのニッチにしたいとなると、その分壁厚も大きくなってくるので、部屋が狭くなる、施工手間の費用が発生するという点を理解しておきましょう。
その他にも、ニッチ部分は壁が薄くなるので音漏れの弱点になりやすい、ホコリだまりにはなるので掃除場所は増えるといった点にも注意しましょう。
ニッチを活用したデザイン事例
出典:「RALPH GERMANN」HPより
ナチュラルテイストの木調で作られた横長のニッチが照明で照らされていて、空間のアクセントになっています。多くのものを飾り過ぎず、控えめな展示が効果的です。
出典:「RAULINO SILVA ARQUITECTO」HPより
寝室廻りにニッチを設けるのも人気があります。ムーディな照明、お香などのような寝室廻りのリラクゼーショングッズをさりげなく飾ったりできそうです。寝る前のスマートホンの充電場所にも利用しやすくて便利です。
出典:「simoncouchmanarchitects」HPより
縦長のプロポーションのニッチで上からしっかりとオブジェを照らしています。白を基調としたシンプルな壁に設けられたニッチはまるでギャラリーであるかのような雰囲気を醸し出しています。玄関や廊下、リビングの片隅にこのような場所1か所あるだけでも空間がぐっと引き締まります。季節によって飾りを変えてみるのも楽しそうです。
出典:「HAVKIN architects」HPより
サニタリー空間でもニッチは活躍します。小物を何個かさりげなく飾ってあげるだけでもオシャレなホテルライクな雰囲気に演出することができます。
出典:「studiofour」HPより
大きめのしっかりとしたニッチがそのままバーカウンターになっている事例です。ダークグレーを基調としたカウンターがクールでオシャレな場所を創出しています。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はニッチを設けることによるメリット・デメリットや注意点、デザイン事例などをご紹介させていただきました。デザイン的にも魅力的なニッチですが、メリットをうまく生かすことができそうであればぜひ取り入れてオシャレな空間を手に入れたいですね。
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